1988 Fiscal Year Annual Research Report
南極成層圏の温度場とオゾンホールの関連についての研究
Project/Area Number |
63540317
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Research Institution | Toyama National College of Technology |
Principal Investigator |
川平 浩二 富山工業高専, 一般科目, 助教授 (30025457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩坂 泰信 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助教授 (20022709)
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Keywords | オゾンホール / 南極 / 気温変動 / 温室効果 |
Research Abstract |
南半球の春季に生じているオゾンホールと気温低下の密接な関連について、資料解析によって詳細に調べた。この結果に基づき、オゾンホールの要因に関する理論を構築した。解析に用いた資料は、米国NMCの全球の気温資料の8年間と昭和基地における20年間の気温とオゾン資料である。オゾンホール出現時の南極下部成層圏の急激なオゾン減少については、極成層圏雲を生じさせる程の-85℃以下の低温状況が必要条件と考えられている。すなわち、この雲の氷面上における不均一反応により、フロンガス中の塩素ガスが放出され、太陽放射による塩素原子の解離によりオゾン消減反応が急激に生じ、オゾンホールを生み出す。本研究では、この低温化の特徴はどのようなものであり、又何故生じているかについて詳細に調べ、以下の結果を得た。 1.南極域成層圏の気温の年々変化を日比の値に基づき調べると、1979年から1987年にかけて、全季節にわたり低温化傾向にあり、とくに極夜期の冬季および春季が顕著であった。 2.さらに、気温の南北分布の年々変化を下部成層圏について調べると、冬型の分布(極域ほど気温が低い)の持続期間が年々長期化している重要な事実を発見した。1980年に比べて1987年は約2ヶ月間長期に持続していた。同様な傾向は、昭和基地の資料によっても見出すことが出来た。 このことから、本研究は、オゾンホール出現の過程として、 1.室温効果気体(炭酸ガス、フロンガス等)の増加の結果、南極成層圏で極成層圏雲が生じる程度の低温化が生じ、雲の氷面上で不均一反応が起きオゾンを消滅させた。 2.極域の低温の結果、南極成層圏の西風が強まり、波動による南北の気温やオゾン交換が弱められた。この理論を更に今後検討していく。
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[Publications] Kohji Kawahira.: Geophysical Resarch Letter. 16. 41-44 (1989)
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[Publications] Kohji Kawahira.: Proc.Internat'1 Ozone Symp.(Deepak). (1989)
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[Publications] Kohji Kawahira.: Proc.Nat.Inst.Polar Res.(Met.and Glac.). No.1. 31-38 (1987)
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[Publications] Yasunobu Iwasaka.: Polar Ozone Workshop(NASA). 176-179 (1988)
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[Publications] Yasunobu Iwasaka.: Geophysical Research Letter. 16. (1989)
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[Publications] Yasunobu Iwasaka.: Geophysical Research Letter. 14. 87-90 (1987)
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[Publications] 岩坂泰信 他: "南極の科学 3気象" 古今書院, 1-334 (1988)
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[Publications] 川平浩二,牧野行雄: "オゾン層破壊" 読売新聞社, (1989)