1988 Fiscal Year Annual Research Report
段階多光子吸収法による気相光化学反応の制御・選択に関する研究
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63540328
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渋谷 一彦 東京工業大学, 理学部, 助教授 (30126320)
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Keywords | 光一光二重共鳴 / 段階多光子吸収 / 状態間相互作用 / 量子カ6オ / 光分解 / 電子励起 / 振動高励起分子 / 中間共鳴状態 |
Research Abstract |
励起光源としてXeClエキシマーレーザー励起の二台の色素レーザーを用いた。中間状態の単一振電回転準位に励起するために、一段目の励起光V_1は色素レーザーの共振器内にエタロンを挿入して波長分解能をドップラー幅程度の0.0.4cm^<-1>とした。光一光二重共鳴(OODR)スペクトルは2^2B_2からの紫外発光を検出しながらV_1あるいはV_2を掃引することによって測定した。V_1遷移とV_2遷移、それぞれにおいて決定した中間状態の回転量子数N'ka,kc(V_1)、N'ka,kc(V_2)が一致しない回転状態が多数観測され、これらの異なる回転量子数の間に△N=0.±1、△ka=0、±2の選択則が存在した。これは、X^2A_1からの遷移が許容で2^2B_2への遷移が禁制な2^2B_2振電準位とX^2A_1からの遷移が禁制で2^2B_2への遷移が許容な2B2振電準位とがspin-rotation相互作用、spin-orbit相互作用などによりカップリングしているための減少と考えた。このようなstate-mixingが中間状態で起こっているとすると、(1)ある一つのサブバンド(514nmバンドにおいてはka=1、590nmバンドにおいてはka=2)のみが観測されたこと、(2)一つの回転状態が複数の量子数をもっていること、(3)同じN'ka,kc(V_2)を持つ回転準位が近接して複数観測されたこと、(4)純粋な1^2B_2状態だと言われている593nmバンドにおいてOODRスペクトルが観測されなかったこと、(5)中間状態からX^2A_1(0、1、0)への蛍光をモニターした励起スペクトルとOODRスペクトルとが対応しなかったこと、(6)分光学上の報文の中に、2B2-B_2X^2A_1の遷移において回転量子数N,kaおよびスピンの選択則が大きく乱れているという報告がなされてきたこと、などの実験事実をうまく説明できる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Nagai;T.Kusumoto;K.Shibuya;K.Obi;I.Tanaka: Journal of Physical Chemistry. 92. 5432-5436 (1988)
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[Publications] K.Shibuya;T.Kusumoto;H.Nagai;K.Obi: Chemical Physics Letters. 152. 129-134 (1988)
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[Publications] T.Kusumoto;H.Nagai;K.Shibuya;K.Obi: Journal of Chemical Physics.
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[Publications] H.Nagai;K.Shibuya;K.Obi: Journal of Chemical Physics.