1988 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴によるアルカリ有機金属化合物の構造と平衡および安定性に対する研究
Project/Area Number |
63540336
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 憲助 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00024191)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 明広 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (70115682)
斎藤 勝裕 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (00089096)
|
Keywords | カルバニオン / 電荷分布 / 分子内回転 / 溶媒効果 / 対イオン効果 / NMR / アルカリ有機金属 / 熱力学的パラメータ |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に基づいて行なわれた研究は次の三つに大別され、それぞれが三つの論文として発表される予定となった。 1、カルバニオンの化学シフトと分子内の電荷分布の研究として、1-及び2-ナフチルメタナイドイオンの炭素のNMRスペクトルを測定し、その分子内電荷分布のデータが得られた。全π電子密度は約11.7〜11.9の値が得られ、理論値12にほぼ近い値となった。特に前者ではC4とC7後者ではC6とC10の化学シフトがπ電子の非局在化を示す指標として適当であると結論された。また溶媒HMPAの効果が化学シフトに大きな影響を与えるこがわかった。これはカルバニオンのイオン対の平衡とも関連し、さらに検討する必要を感じさせるものである。 2、カルバニオンの活性中心に窒素原子を有するものとしてアミノナフタレンから、プロトンを引抜いた型のアニオンを生成させ、これらの水素、炭素、窒素のNMRスペクトルデータから、分子内の電荷分布の状況を検討した。このアニオンではスペクトルに温度の効果が特に強く観測される、なんらかの動的過程による説明が必要と考えられ、窒素原子を含む結合の回転又は反転等の解釈があり、その活性化自由エネルギー変化として50kJ/molの値が得られた。 3、ブタジエン骨格を持つ炭化水素から生成するカルバニオンのNMRスペクトルから骨格のコンホーメーションの知見を得た。末端にそれぞれ1個あるいは2個のフェニル基を有するアニオンを生成させることができた。前者では中心部の構造がシス型となり、後者ではトランス型となっていることがスピン結合定数から結論された。この両者の相違は末端におけるフェニル基の立体的因子に依存するものと考えられる。また末端フェニル基の回転に関する熱力学的パラメータも得られている。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Yukihiro,Yokoyama;Yutaka,Takakura;Takeshi,Sawasaki;Kensuke,Takahashi: Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 62. 682-686 (1989)
-
[Publications] Yukihiro,Yokoyama;Kensuke,Takahashi: Bull.Chem.Soc.Jpn.,.
-
[Publications] Yukihiro,Yokoyama;Toshio,Matsuda;Katsuhiro,Saito;Kensuke,Takahashi: Bull.Chem.Soc.Jpn.,.