1988 Fiscal Year Annual Research Report
ポテンシャルエネルギー曲面のトポグラフィーと化学反応動力学
Project/Area Number |
63540357
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
中村 宏樹 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (10010935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 稔三 日本原子力研究所, 研究員
染田 清彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20206692)
岩井 正博 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (00193714)
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Keywords | 化学反応動力学 / ポテンシャルエネルギー曲面 / 反応断面積 / 反応速度 / 断熱近似 / 瞬間近似 / 超球座標 |
Research Abstract |
1.断熱及び瞬間近似による原子移行化学反応過程の量子力学的研究 超球座標系に基づいた上述二近似の定式化と計算機コードの作成をほぼ完了した。また、遠心力一定の近似を提唱しその有効性を具体的に示した。以上により、良い精度で各種反応過程の反応断面積及び反応速度の評価を行う事が出来る様になった。更に、超球座標の利用により反応物及び生成物の振動状態ポテンシャル曲線を統一的に描く事が出来、反応のメカニズムが分り易くなると同時にポテンシャルエネルギー曲面のトポグラフィーの効果を直接グラフの形で表現する事が出来る様になった。各種反応過程の研究を具体的に進めており、既に以下の反応系について具体的成果が得られている。 (1)d+μt+dμ+t:断熱近似により精度良く扱いうる事を示した。(2)Cl+HBγ→ HCl+Bγ:断熱近似により研究遠心力一定近似の有効性、同位体効果等を調べた。今後より良いポテンシャルを用い更に研究を進める。(3)O+HCl→OH+Cl:断熱近似を用いて研究。遠心力一定近似の有効性、ポテンシャル曲面の効果、同位体効果、トンネル効果等多くの成果が得られた。(4)Cl+H_2→HCl+H:瞬間及び断熱の両近似を用いて研究。やはり同位体効果、トンネル効果等多くの成果が得られた。 2.化学反応における回転状態遷移の研究 回転遷移のメカニズムの理解に役立ち、同時に計算が比較的容易な新しい理論(IOS-DW及び独立事象近似)を提唱した。H+H_2系及びその同位体系に適用し近似の有効性を示した。計算機コードを改良し、他のより一般的反応系に適用出来る様にする計画である。ポテンシャル曲面効果と同時に回転遷移のメカニズムが解明出来ると期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akihiko Ohsaki,;Hiroki Nakamura,;Michael Baer.: Physical Review A. 38. 2798-2803 (1988)
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[Publications] Akihiko Ohsaki,;Hiroki Nakamura,;Seung C.Park.: Computer Physics Communications. (1989)
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[Publications] Masato Nakamura,:Hiroki Nakamura.: Journal of Chemical Phusics. (1989)
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[Publications] Akihiko Ohsaki,;Hiroki Nakamura.: Physics Report. (1989)
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[Publications] Masato Nakamura,:Hiroki Nakamura.: (1989)