1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540358
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小谷野 猪之助 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80016089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 伸一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (30164403)
今村 隆史 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60184826)
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Keywords | イオン-分子反応 / 光イオン化 / 化学反応動力学 |
Research Abstract |
研究実施計画の線に沿って、イオン-分子反応の中間状態を観測する試みを種々の方法で進めた。反応イオンをできるだけ高濃度につくるためのデュオプラズマトロン型イオン源及びコルトロン型イオン源、生成したイオンを反応点に最大限に収束させるためのイオンレンズ、高効率集光系、及び高感度低ノイズ光検知器を設計・製作し既存のアルミニウム製真空槽に装着した。各部分の性能テストを行い、それぞれ満足に働くことが確認された。ついで、中間状態の検出の可能性を示す系を探るため、TESICO法(しきい光電子と反応生成物の時間相間を利用した測定法)による内部状態選択イオン-分子反応及び放電フロー法による振動励起イオンの脱活性反応の研究を行った。前者では酸素分子イオンとメタンの反応及びエチレンイオンとエチレンの反応をイオンの振動状態を選択して調べた。酸素イオンとメタンの系では、振動エネルギーの増加と共に発熱のチャネルであるCH_3O_2^+の生成がまず促進され、さらに振動エネルギーが上ると二つの吸熱チャネル(CH_3^+及びCH_4^+の生成)が促進されてくることがわかった。これらの結果の総合的解析から、この系は中間に二つ以上の異った構造をもつ複合体をつくって進み、その複合体の寿命がかなり長いこと、したがって、レーザー誘起けい光法による中間状態の検出が可能であることがわかった。エチレンの系では、二通りのモードの振動量子を別々に励起した測定から、これらモードの間に反応に及ぼす効果の差異があることが見いだされた。これも中間に寿命の長い中間複合体が存在することを示している。これらの系を対象に、レーザー誘起けい光法、レーザー照射によるイオン強度変動法による研究を行った。
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[Publications] 小谷野猪之助、田中健一郎、加藤立久、鈴木信三: Faraday Discussions of the Chemical Society. 84. 265-279 (1987)
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[Publications] 鈴木信三、小谷野猪之助: Padiochimica Acta. 43. 115-117 (1988)
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[Publications] 長岡伸一、鈴木信三、小谷野猪之助: Nuclear Instruments and Methods. 246. 699-704 (1988)
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[Publications] 友田真二、鈴木信三、小谷野猪之助: Journal of Chemical Physics. 89. 7268-7276 (1988)
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[Publications] 長岡伸一、小谷野猪之助、上田潔、繁政英治、佐藤幸紀、柳下明、長田哲夫、早石達司: Chemical Physics Letters. 154. 363-368 (1989)
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[Publications] 長岡伸一、鈴木信三、長嶋雲兵、今村隆史、小谷野猪之助: Review of Scientific Instruments. (1989)