1988 Fiscal Year Annual Research Report
超音速ジェット分光法による核酸塩基分子の電子スペクトルと互変異性体の研究
Project/Area Number |
63540365
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 光男 東北大学, 理学部, 教授 (20013469)
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Keywords | 核酸塩基 / 互変異性体 / 超音速ジェット / レーザー分光 |
Research Abstract |
核酸塩基分子には数種の互変異性体が可能であるが、単一の互変異性体のみが実在しているといわれている。他の互変異性体の存在は突然変異との関連で極めて重要である。本研究は超音速ジェット・レーザー分光法を用いて、代表的な核酸塩基であるウラシル、チミンについて互変異性体の有無を検討することを目的とした。得られた成果は下記の通りである。 1.ウラシル気体の電子スペクトルを超音速ジェット条件下で蛍光励起スペクトルの形で測定した。その結果、近紫外部領域に2種類の電子スペクトルを見出した。 2.これら2つの電子スペクトルの解析及び蛍光スペクトルの測定から1つはよく知られているジケト型の互変異性体であり、もう1つはケト-エノール型の互変異性体であることが明らかとなった。後者の異性体の存在の確認は極めて重要な意味をもつ。 3.同様の研究をチミンについても展開し、ウラシルの場合と同じくジケト型とケト-エノール型互変異性体の存在を確認した。
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[Publications] M.Fujii: The Journal of Physical Chemistry. 92. 2398-2400 (1988)
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[Publications] M.Fujii: Chemical Physics Letters. 150. 380-385 (1988)
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[Publications] Y.Tsuchiya: The Journal of Physical Chemistry. 92. (1988)