1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540375
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
木村 克美 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (60001674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 克彦 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (10185556)
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Keywords | 真空紫外レーザー / 光電子スペクトル / 励起状態 |
Research Abstract |
本研究では、励起分子の光電子分光の新しい展開を計るため、新しい高いイオン化状態と高分解能の光電子スペクトルを測定できるような真空紫外パルスレーザーによる「しきい光電子」スペクトル法の開発を行った。(1)まず、真空紫外レーザー(105-120nm)を発生させる水銀ヒートパイプオーブンを製作し、(2)、「しきい光電子」を測定する高分解能アナライザーを試作した。 水銀ヒートパイプ・オーブンは、両端にLiF窓を取付け、その手前で水冷し、窓板に水銀が付着するのを防ぐようにした。水銀蒸気には希ガスを混入し、フェーズマッチングをとった。水銀原子をまず二光子で励起し、ついで二番目のレーザーでさらに励起させ、四周波混合によって、真空紫外レーザーを発生させた。二台目のレーザーの波長を変えることによって、Wvuv=2W_1+W_2で与えられる波長可変の真空紫外レーザーが得られる。テスト分子として,イオン化ポテンシャルの低いアニリン(8.00eV)をこの水銀レーザーで照射することによって、イオン化の実験に十分な速度の真空紫外レーザーがえられることがわかった。 一方、しきい光電子アナライザーは、全く新しい試みとして、キャピラリーアレイを用い、運動エネルギーがほぼゼロの光電子のみ補集する工夫を行った。このアナライザーを特徴は、補集効率が高いことと、分解能が高いことである。実際に、アニリン分子のSi状態を第一レーザーで励起し、ついで第二レーザーでイオン化しながら、しきい光電子を測定してスペクトルを測定したところ、分解能5meVで光電子スペクトルが得られることがわかり、今後さらに分解能の向上が期待できる。これによって、本研究目的は一応達さられ、国際的にも注目される結果が今後得られることは間違いない。
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[Publications] 木村克美、佐藤健児、奥山克彦、高橋正彦: Ultrafast Phenomena. 6. 483-486 (1988)
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[Publications] 阿知波洋次、木村克美: Chemical Physics. 129. 11-20 (1989)
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[Publications] 高橋正彦、奥山克彦、木村克美: Journal of Chemical Physics.
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[Publications] 奥山克彦、高橋正彦、木村克美: Journal of Chemical Physics.