1988 Fiscal Year Annual Research Report
新しい有機スズ化合物合成法の開発とその有機合成への利用
Project/Area Number |
63540385
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
武田 猛 東京農工大学, 工学部, 助教授 (40111455)
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Keywords | アリルスタナン / ビニルスタナン / 酸化的カップリング / 炭素-炭素結合生成反応 / アネレーション / 四塩化スズ / 二価銅塩 |
Research Abstract |
主な研究成果の概要を研究計画に従い項目別に述べる。 1.ヘテロ原子置換アリル及びビニルスタナン合成法の開発---α-アルキル置換アリスルフィドをsec-ブチルリチウム、塩化トリブチルスズで順次処理するとγ-(ファニルチオ)アリルスタナンが選択的に得られることを見いだした。同様な手法によりα-(フェニルチオ)ビニルスタナンも合成できることが判った。 2.有機スズ化合物と求核試薬の反応---アリルスタナンをアルコール、アミンなどの求核試薬の存在下で臭化第二銅で処理すると、対応するアリル化合物が得られることが判った。またこの反応では従来のアリル化合物の求核置換反応では見られない、極めて高い位置選択性の温度依存性が認められた。この様な選択性の温度依存性はグリニヤール試薬などのカルバニオンとの反応でも観察され、アリルスタナンを利用するアリル化反応が反応の位置制御の点で極めて有用であることが明らかになった。またシリルエノールエーテルとの反応も四塩化スズ、或は銅トリフラートを酸化剤に用いると収率良く進行し、ハロゲン化アリルに比較してアリルスタナンが優れていることが判った。一方、アニソールなどの芳香族化合物中でα-(フェニルチオ)ビニルスタナンに四塩化スズを作用させ、加熱還流するとフリーデル-クラフツ型生成物が得られることが判った。これは有機スズ化合物の酸化的カップリング反応がビニル化合物にも拡張できることを示している。 3.新規有機スズ化合物の有用物質合成への利用---1.に合成法を述べたγ-(フェニルチオ)アリルスタンナンとシリルエノールを四塩化スズ、或はトリフルオロ酢酸銅を用いてカップリングし、更に塩酸で加水分解すると容易にロビンソンアネレーション型生成物が得られることが判った。
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[Publications] Takeshi,Takeda: Chemistry Letters. 985-988 (1988)
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[Publications] Takeshi,Takeda: Chemistry Letters.
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[Publications] Takeshi,Takeda: Tetrahedron Letters.
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[Publications] Takeshi,Takeda: Chenistry Letters.