1988 Fiscal Year Annual Research Report
ラジアレン骨格を有する有機超電導体および有機強磁性体の研究
Project/Area Number |
63540396
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊與田 正彦 大阪大学, 理学部, 助教授 (50115995)
|
Keywords | ラジアレン / 有機超電導体 / 有機強磁性体 / 酸化環元系 / 活性種 / カルベノイド / 選択的合成反応 / 活性金属ニッケル |
Research Abstract |
1.ラジアレン骨格を有する新規酸化還元系として3種の化合物を合成した。Iに関してはその酸化還元電位および立体化学について調べ、他の2種の系についてはメタル還元することによりジアニオンIIおよびIIIとして、そのNMRスペクトルからこれらのジアニオンの性質について調べた。これらの結果、Iは非平面分子で2種の配座異性体の混合物として存在することがわかった。また、ジアニオンIIおよびIIIは非常に安定であり、さらにIIは中央シクロプロパン部が幾分力チオン性を帯び、周辺部がトリアニオン構造を取った特異なアニオンとしての性質を示すこともわかった。現在、これらの結果をもとにして、導電性および磁性を示すラジアレンの合成を進めている。 2.ラジアレン類の効果的な合成法として、新たに活性金属ニッケルを作用させることにより発生させた二ッケルカルベノイドの環状多量化反応を用いる一段階合成法を開発した。この反応は遷移金属カルベノイドの新しい環化反応であり、活性種を用いる選択的合成反応として有用であるばかりでなく、これまで合成の難しかったπ電子系化合物の合成法に新しい道を開くものである。例えば、1,1ージブロモエチレン類IVに活性金属ニッケルを作用させると、Vが29〜58%の収率で得られ、また、VTが27%の収率で得られた。さらに、RとR′がメチル基の場合には[4]および[5]ラジアレンが生成し、種々の化合物を合成することが可能である。
|
-
[Publications] Masahiko Iyoda: Chem.Lett.149-152 (1988)
-
[Publications] Masahiko Iyoda: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.65-66 (1988)
-
[Publications] Masahiko Iyoda: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 2253-2255 (1988)
-
[Publications] Masahiko Iyoda: Angew.Chem.Int.Ed.Engl.27. 1080-1081 (1988)
-
[Publications] Masahiko Iyoda: J.Am.Chem.Soc.110. 8494-8500 (1988)
-
[Publications] Masahiko Iyoda: J.Am.Chem.Soc.111. (1989)