1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540423
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
上村 大輔 静岡大学, 教養部, 助教授 (00022731)
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Keywords | シガテラ / シガトキシン / 構造研究 / 部分構造 / バラフエダイ / ドクウツボ |
Research Abstract |
「シガテラ」とはサンゴ礁海域に生息する魚介類により起こる食中毒で、死亡率は低いが古くからよく知られている。その原因毒シガトキシンの構造を解明するのが本研究の目的である。本年度は沖縄でよくシガテラ中毒の発生するバラフエダイ(アカナ)を材料にして研究を進めた。内臓に集中してシガトキシンが存在するため、約350Kgを抽出分離し、150μgのトキシンを得た。尚、その過程でジヒドロアクチ=ジオリドを得、強い毒性を持つことを証明した。しかし、これは「シガテラ」とは関係ないことが判明した。得られたシガトキシンのH-NMRスペクトルを測定した。その結果、ハワイ大学のScheuerが報告する物質と一致した。2級メチル基4個、3級メチル基1個が存在し、非共役のトランスオレフィン2個も存在する。また、IRスペクトルで1600cm^<-1>に強い吸収があるが、これはカルボキシル基ではないとの結論を得た。分子量は1110であり、アミド結合は存在せず、またニンヒドリン、ドラーゲンドルフ試薬に陰性なので窒素は含まれないと考えている。また、水酸基3個の存在が明らかであり、オカダ酸との構造類似性が示唆される。これはオカダ酸モノクロナール抗体とシガトキシンのそれが約30%クロスすることと一致している。 ところで、バラフエダイの内臓からだけではシガトキシンが少量しか得られないので、タヒチ産のドクウツボも材料として入手する道を開いた。今後、タヒチ産、沖縄産のシガテラ魚をさらに入手して構造研究を進める。基礎的データを集めることができたので、全構造解明に向けて一歩前進したと考える。本研究の結果は世界的に多くの人々が待ち望むところであり、是非達成したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] I.Muramatsu: Br.J.Pharmacol.93. 811-816 (1988)
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[Publications] H.Ishihara: J.Biol,Chem.
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[Publications] 上村大輔: 化学. 43. 98-99 (1988)
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[Publications] 上村大輔: 化学増刊114 「天然物化学の新しい展開」. 59-70 (1988)
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[Publications] Y.Hirata: "A.T.Tu編 Marine Toxins and Venoms,Vol.3" Marcel Dekker,Inc.New York and Basel, 241-258 (1988)
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[Publications] D.Uemura: "Atta-ur-Rahman編 Studies in Natural Products Chemistry,Vol.2" Elesevier,Amsterdam,