1988 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴気流量変化測定法の確立と伊豆大島火山の火山活動モニタリングへの応用
Project/Area Number |
63540443
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野津 憲治 東京大学, 理学部, 助教授 (80101103)
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Keywords | 火山噴火予知 / 火山活動モニタリング / 噴気 / 噴気流量測定 / 伊豆大島火山 |
Research Abstract |
火山活動の推移と噴気活動との関係を知り、噴火予知や火山活動モニタリングに役立てるため、噴気活動の定量化を試みた。噴気活動は、その化学組成の変化や温度変化などで時間的な変化をとらえることが行なわれてきたが、噴気流量変化はその測定に困難さがあるため従来から定量的な議論に欠けていた。 本研究では、伊豆大島火山のカルデラ床に掘削された高温蒸気が噴出している井戸を用いて、蒸気流量変化を測定することを試みた。1986年の噴火前からこの蒸気は地球化学的な観測に用いられており、例えば、^3He/^4He比が噴火後2〜3ヶ月かかって上昇し、マグマの上昇に伴いマグマ起源のヘリウムが増加したことが明らかになった。噴気流量の測定は、2つの方法を試みた。第1は、噴気が噴出する地表部分に、新たに開発製作した回転する羽根をもつ流量計を設置し、その回転数を電気信号として読みとる方法である。もう1つは、噴気孔の異った深さに温度センサーを置き、測定された温度勾配の時間変化から流量変化を推定する方法である。本研究では、高温蒸気が管内に入り込む深さ150m位置と地表近くの深さ5m位置にサーミスターセンサーを置き、0.01℃の精度の温度測定を行った。 その結果、数日位の短い時間では、150m位置の温度変化が全くといっていい程ないにも拘ず、5m位置では2℃程度の幅で短時間の変動を示していた。この変化は、回転流量計による時間変化とかなりよく似ており、気圧変動や降雨などでの気象要素をうまく補正できると、蒸気流量変化は、蒸気温度勾配変化から測定できることが明らかになった。本研究結果から明らかになった短い時間の流量変動が火山活動変化とどう関係しているかは今後の問題であるが、本研究で確立した方法は、今後の火山観測に大いに役立つと思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] SANO,Y.;NAKAMURA,Y.;NOTSU,K.;WAKITA,H.: Geochim.Cosmochim.Acta. 52. 1305-1308 (1988)
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[Publications] 脇田宏、野津憲治、中村裕二、佐野有司: 火山. 33. S285-S289 (1988)
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[Publications] NOTSU,K.et al: J.Volcanol.Geotherm.Res.