1988 Fiscal Year Annual Research Report
ボルタンメトリックセンサーによるフリーデル氏複塩桁出反応の追跡
Project/Area Number |
63540446
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山田 明文 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80004430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 晧一 新潟大学, 工学部, 助教授 (30013478)
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Keywords | ボルタントトリックセンサー / フリーデル氏複塩 / 塩化物の分析 / 管理分析法 |
Research Abstract |
近年、海砂の使用量の増大とともに、鉄筋コンクリート構造物の腐食、崩壊が目立ち、「塩害」といわれる重大な社会問題を引き起こしている。これは、塩化物そのものはコンクリートの硬化を促進させるが、他方で内部の鉄筋を発錆腐食されるためである。コンクリート中に混入した塩化物は、フリーデル氏複塩を生成し、時間とともに硬化していく。本研究においては、ボルタントリックセンサーを用いてコンクリート中のこのようなフリーデル氏複塩の溶存状態ならびに折出過程に注目し、強アルカリ性環境下における塩化物の管理分析法を研究した。 1.微小銀電極を用いたボルタントトリックセンサーが、強アルカリ性環境下(pH13以上)でのコンクリート中の塩化物の局所濃度に精度良く応答することを見出しているので、このセンサーを用いてセメントペースト中の塩化物濃度とセメントのブリージング量との関係を調べた。新しく調整したセメントペースト中の塩化物濃度は、始めの2時間位は大きく変化を示さなかったが、セメントの凝結が始まると段々に減少し始めた。しかし、この変化は予想以上に小さくセメントメーカーによる差が大きかった。 2.インテリジエントポンプを用いて、フローインジェクション分析装置を組み立て、セメントの水和、凝結にともなう塩化物濃度を調べた。塩化物イオンと置換反応する物質を分散剤とともにカラムに結め、置換反応で生成した物質の量を測定し、塩化物の量を評価した。再現性、分析精度とも良く、フリーデル氏複塩の分析に有効であることを確認した。試験サンプルが極く少量でよいことから、塩化物劣化コンクリートのコア抜き取り量が少なくて済むことが考えられ、コンクリートの管理分析法としても有効な方法と考えられる。
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