1988 Fiscal Year Annual Research Report
イオン化制御逆相クロマトグラフィーによる希少安定同位体の濃縮分離
Project/Area Number |
63540452
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 信男 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (60127165)
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Keywords | イオン化制御 / 逆相クロマトグラフィー / 同位体分離 / 窒素ー15 / 酸素ー17 / 酸素ー18 |
Research Abstract |
1.粒子径5μmのシリカゲルから逆相クロマトグラフィー用ODS充填剤とポリマー被覆型ODS充填剤を得た。これらをカラムに充填して全長3.5mのカラムシステムと、カラムスイッチングバルブを組み込んだ全長90cmのリサイクルシステムを構成した。 2.ジメチルアニリンとパラニトロフェノールについて、イオン化制御逆相クロマトグラフィー条件下で移動相のpHと溶質の保持、窒素および酸素同位体分離係数との関係を検討した。ジメチルアニリンについて窒素ー14と窒素ー15の分離係数はpH3.8で最大の1.011を与えた。また酸解離定数に対する同位体効果1.014が得られた。 3.10%アセトニトリルを含むpH3.8の酢酸緩衝溶液中で、全長3.5mのカラムシステムを使用して窒素ー14と窒素ー15との分離が可能となり0.37%の自然濃度から一回の分離で窒素ー15を5ー10%に濃縮でき、再分離により90%以上の同位体純度への濃縮が達成された。 4.パラニトロフェノールについて、酸素ー16と酸素ー18の分離係数はpH7.6で最大となり、1.010を与えた。また酸解離定数に対する同位体効果1.017が得られた。 5.5%メタノールを含むpH7.6のリン酸緩衝溶液中で、リサイクルカラムシステムにより三種の酸素同位体、酸素ー16、酸素ー17、酸素ー18の相互分離が可能となり、約30時間でそれぞれ90%以上の同位体純度への濃縮を達成した。酸素ー17は従来可能な60%以下の同位体純度よりはるかに高純度に濃縮された。 以上のように、一般的な高速液体クロマトグラフを用いて、イオン化制御逆相クロマトグラフィーにより窒素と酸素の希少安定同位体の濃縮と分離を可能としたが、さらに炭素同位体の濃縮分離を検討中である。
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Research Products
(1 results)