1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540474
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 昭子 東京大学, 理学部, 助手 (50011705)
|
Keywords | 分子性超伝導体 / ジチオレン錯体 / 一次元格子不安定性 |
Research Abstract |
本研究では非対称ドナー:EDT-TTF(エチレンジラオテトラチアフルバレン)と金属ジチオレン錯体M(dmit)_2を用いて新分子性超伝導体の開発をめざした。EDT-TTFはテトラチオフルバレン環の片側をBEDT-TTF:もうー方をTTF骨格をしたドナー分子で のカップリング反応により合成しHPLC(シソカゲル、CS_2)で分離精製した。(EPT-TTF)〔Ni(dmit)_2〕は(Bu_4N)〔Ni(dmit)_2〕を支持電解質として定電流電気分解(1μA)で得た。結晶はtoiclimc form(α-from)とmoroclinid from(β-from)の二種類がある。β-fromは格子定数がa=27.085、b=7.845、c=11.508A、β=101.33でPl_1/cの空間群をもつ。ドナーとアクセプター分子が交互に積み重なり、面間隔は3.622A^°、3.642A^°である。室温の電気電導度は10^2Ωcmで、伝導度のふるまいは半導体的である。 (DBiTF)〔Ni(dmit)_2〕と同様、横方向相互作用がもう少し強くなるとドナー・アクセプター電荷移動型錯体として金属を作る可能性もある。α塩はPTの空間群をもちa=6.654、b=7.614、c=27.44A^°、α=93.3、β=91.43、γ=119.22°である。α塩は14Kに抵抗の極大を示すが1.5Kまで金属である。この様子は最初の分子性伝導体となったフランスのグループによる(TTF)〔Ni(dmit)_2〕_2とよく似ており、高圧下での新しい超伝導体出現が期待され、現在高圧実験の準備を進めている。14Kにおける抵抗の極大は、何らかの一次元不安定性に関係していると思われるが、この問題は今後の興味ある課題である。一方Pd(amit)_2の系で、α、β〔(CH_3)N〕〔Pd(dmit)_2〕_2及び〔(CH_3)_4As〕〔Pd(dmit)_2〕_2を合成した。B塩及びAs塩は超伝導体となった〔(CH_3)_4N〕〔Ni(dmit)_2〕_2と同型であり、α塩は低温において二倍周期構造が現れる。しかしβ塩やAs塩では低温で格子の変化はみられなかった。これらの錯体もα、α'-(TTF)〔Pd(dmit)_2〕_2と同様かなり高い圧力下では超伝導となる可能性も大きい。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] A.Kobayashi;R.Kato;H.Kobayashi;T.Mori;H.Inokuchi: Synthetic Metals. 27. B275-B280 (1988)
-
[Publications] A.Kobayashi;H.Kim;Y.Sasaki;S.Moriyama;Y.Nishio;K.Kajita;W.Sasaki;R.Kato;H.Kobayashi: Synthetic Metals. 27. B339-B346 (1988)
-
[Publications] H.Kim;A.Kobayashi;Y.Sasaki;R.Kato;H.Kobayashi;T.Nakamura;T.Nogami;Y.Shirota: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 2559-2562 (1988)
-
[Publications] H.Kim;A.Kobayashi;Y.Sasaki;R.Kato;H.Kobayashi: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 579-581 (1988)
-
[Publications] R.Kato;H.Kobayashi;H.Kim;A.Kobayashi;Y.Sasaki: Chem.Lett.865-868 (1988)
-
[Publications] H.Kobayashi;R.Kato;A.Kobayashi;T.Mori;Y.Nishio;K.Kajita;W.Sasaki: Synthetic Metals. 27. A289-A297 (1988)