1988 Fiscal Year Annual Research Report
二核異種金属混合原子価錯体の選択的合成法の開発および触媒作用に関する研究
Project/Area Number |
63540480
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木、正樹 マサタツ 金沢大学, 理学部, 助教授 (20091390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 章 金沢大学, 理学部, 教授 (30019484)
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Keywords | 二核異種金属錯体 / 二核混合原子価錯体 / 鉄二価三価錯体 / 選択的合成法 |
Research Abstract |
二核異種金属錯体(Ma+Mb)では、性質の違った二種の金属イオン、特に本研究では原子価状態の異なった二種の金属イオンの存在によって、従来の同種金属錯体では見られない新しい性質の発現が期待される。また、同種金属錯体の性質を詳細に理解するうえで、この種の2核異種混合原子価錯体は多大の助けとなるが、現在のところこのような研究例はほとんどない。我々は左右対称な二核化配位子(2、6-bis〔〔bis2-pyridylmethyl)aminomethyl〕-4-methylphenolや2、6-〔bis〔bis(2-benzimidazolylmethyl)aminomethyl〕-4-methylphenol)を用いて、種々の金属イオンの組合せを持つ錯体〔Ma^<3+>Mb^<2+>(L)(RCOO)_2〕^<2+>(Ma^<2+>:Mn^<2+>、Co^<2+>、Ni^<2+>、Cu^<2+>、Zn^<2+>、Mb^<3+>:Fe^<3+>、Mn^<3+>、Co^<3+>)の合成法を開発し、それらの性質を詳細に検討した。錯体の合成は二核化配位子とカルボン酸イオンの混合溶液に、二価金属イオンと三価金属イオンの混合溶液を加えることによって、選択的に異種金属混合原子価錯体が得られることが分かった。このように二価三価異種金属錯体が容易に得られる原因は、錯体の構造と密接に関係しているものと考えられ、現在、二価二価、二価三価、三価三価錯体のX-線結晶構造解析を行いつつある。また同種金属錯体と異種金属錯体の性質の比較より多くの興味ある結果が明らかとなった。例えば、〔Co_2(L)(RCCO)_2〕^+は酸素と反応してきわめて安定な酸素錯体を形成するが、異種金属錯体〔Co^<2+>-Mn^<2+>or Fe^<2+or3+>〕では、コバルト二価イオンは酸素と全く反応せず、コバルト二価二価錯体の大きな酸素親和性は二つのコバルトイオンの協同効果によることが明らかとなった。さらにマンガン二価三価錯体〔Mn_2(L)(RCOO)_2〕^<2+>は、非常に複雑なESRスペクトルを示し、これを理論的に解釈するためにはマンガン二価部および三価部のスペクトルが多大の助けとなる。そのため現在〔Mn^<3+>-Zn^<2+>〕および〔Co^<3+>-Zn^<2+>〕錯体のESRスペクトルを検討中である。
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[Publications] Masatatsu,suzuki;Hiroki,Oshio;Akira,Uehara;Kazutoyo,Endo;Makoto,Yanaga;Sigeo,Kida;Kazuo Saito: Bull.Chem.Soc.Jph.,. 61. 3907-3913 (1988)
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[Publications] Masatatsu,suzuki;Hitoshi,Senda;Yumiko,Kobayashi;Hiroki,Oshio;Akira,Uehara: Chem.Lett.,. 1763-1766 (1988)