1988 Fiscal Year Annual Research Report
^<17>O-NMR法による金属カルボニルクラスター化合物の研究
Project/Area Number |
63540482
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
尾中 証 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50024302)
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Keywords | ^<17>O-NMR / 金属カルボニルクラスター / 化学シフト / 環電流 |
Research Abstract |
RCC0_3(CO)9(R=Cl、H、Ph、Me)、MeCCO_3(CO)_8・PPh_3(Ph_2C_2)CO_2Fe(CO)_9、(HPhC_2)CO_2Fe(CO)_9の一連の三核金属カルボニルクラスターを合成し、天然存在比(0.037%)の^<17>O核のNMRを測定した。これらの化合物は^<17>O-核の存在比が極めて低いにもかゝわらず、^<13>C核とほゞ同程度の測定時間で容易にシグナルを与えた。これらの三核クラスターの基本骨格は正四面体型で、四面体の頂点をCあるいは-C=C-が占有した構造をとる。一連のRCCO_3(CO)_9では、RをCl→H→Ph→Meと変えても^<17>O-核の化学シフトは3ppm程度しか認められなかったが、これはCO_3核が「良い電子貯め」であることを示す傍証と見なせる。このCO核に直接配位したCOを1個PPa_3に置換したMeCCO_3(CO)_8・PPh_3は、CO間の交換現象(スクランブリング)の為、非等価であるべきCOがすべて等価となり、1本の「平均化されたシグナル」しか検出できなかったが、MeCCO_3(CO)_9と比べて15PPmの低磁場シフトが観測された。RC-をPA-C=C-Phに置換した(Ph_2C_2)CO_2Fe(CO)_9においても同様な交換が室温で起っており、COに配位したCOと、Feに配位したCOの、平均化されたシグナルしか検出できなかった。一方RC-をH-C=C-Phに置換した(HPhC_2)CO_2Fe(CO)_9ではH-C=C-PhとCO_2Feコアとの結合様式がPh-C=C-Phのケースとは異なる為、CO間の交換が抑えられ、COに結合したCOと、Feに結合したCOのシグナルを識別できた。これらの化学シフトを解釈する為、CO伸縮振動の赤外線吸収の波数、ν(CO)との相関を求めたところ、ν(CO)が高くなるほど化学シフトが高磁場シフトすることが判明した。この相関は、金属原子による環が形成されていない一連のオープンクラスター、Me_4-xSn・[CO(CO)_4]x(x=1、2、3)、R_2Sn[CO(CO)_4]_2におけるこれらのデータ間の相関とは逆であり、CO_3環あるいはCO_2Fe環の環電流が^<17>O-核の化学シフトに大きな影響を与えていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)