1988 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラべん毛レギュロンにおける転写制御機構の研究
Project/Area Number |
63540500
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沓掛 和弘 東京大学, 理学部, 助手 (90143362)
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Keywords | 細菌べん毛 / べん毛レギュロン / 遺伝子発現 / 転写調節 / タンパク質精製 |
Research Abstract |
サルモネラのべん毛は10数種類のタンパク質からなる高次構造体であり、その形態形成と機能発現には50個近いべん毛遺伝子の機能が必須である。これらのべん毛遺伝子は14個のべん毛オペロンを形成しており、それらの発現はべん毛レギュロンとして組織化されている。べん毛オペロンはべん毛レギュロンにおける転写発現の階層性から3つのグループに大別され、べん毛レギュロン全体の転写活性は正と負の転写調節因子であるfliAとrflB遺伝子産物の機能によって制御されていることが明らかになりつつある。本研究は、これらの転写調節因子の作用機構を解明することを目的として行われている。(1)べん毛レギュロンの第3群のオペロンの脱制御型突然変異体を多数分離し、それらの詳細な遺伝解析を行った。その結果、それらのなかにはrfIB遺伝子に欠損を持つものに加えて、少なくとも2種類の突然変異体が存在することが判明したので、これらをrflCおよびrfID突然変異体と命名した。rfID突然変異はfliA遺伝子内に位置づけられ、rfIBとfliA遺伝子産物間に何らかの相互作用が存在することが示唆された。一方rflC突然変異は、既知のべん毛遺伝子群とは隔たった染色体領域に位置づけられ、rfIB遺伝子産物の抑制作用の発現にはもう一つの未知の因子が関与している可能性が示唆された。(2)rfIB遺伝子をtaoプロモーターの下流に連結させ、rfIB遺伝子産物の大量生産系を確立した。この系を用いてRflBタンパク質の同定を行うとともに、高純度の精製標品を得ることに成功した。一方、フラジェリン遺伝子fliCを鋳型として用いたDNA依存性試験管内タンパク質合成系を確立した。この系ではfliA大量生産菌から調整した細胞抽出液を用いなければ有意な量のフラジェリン合成が検出されず、ここに精製したRflBタンパク質を添加するとフラジェリン合成量の低下が見られた。これはin vivoでの解析結果を支持するものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kutsukake,K.;Ooya,T.;Yamaguchi,S.;Iino,T.: Mol.Gen.Genet.214. 11-15 (1988)
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[Publications] Iino,T.;Komeda,Y.;Kutsukake,K.;Macnab,R.M.;Matsumura,P.;Parkinson,J.S.;Simon,M.I.;Yamaguchi,S.: Microbiol.Rev.52. 533-535 (1988)
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[Publications] Wada,M.;Kutsukake,K.;Komano,T.;Imanoto,F.;Kano,Y.: Gene. (1989)
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[Publications] Kihara,M.;Homma,M.;Kutsukake,K.;Macnab,R.M.: J.Bacteriol.
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[Publications] 沓掛和弘: 日本農芸化学会誌. 62. 1790-1794 (1988)