1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540514
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
森川 和子 東京農工大学, 工学部, 助教授 (50015046)
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Keywords | 平板法 / 河川水 / 河床付着層 / 細菌フロラ / コロニ-形成曲線 / 培養温度 |
Research Abstract |
本研究のまとめの年度であったが、当初予定していた硅藻の単離株と細菌の栄養的な関係を実験的に明らかにしようとする実験は、硅藻の単離が困難でうまくできなかった。上流域における研究結果から注目していたCymbella spは常に2種類の細菌を伴なっており(Cytoplaga spとPseadi monas sp.)単独にすることができなかった。そこで単独にせず細菌を加えて量的な変化を追う事にしたが、混合培養の方法論でつまづき年度内に期待した結果は得られなかった。 同じく細菌フロラを左右している要因に平板の培養温度が考えられる。そもそも細菌フロラの決定には、平板法を用いてコロニ-を形成させ、これについて諸生理学的な性質の検討をした上で決定するのであるが、平板は培養しなければならない。その温度を現場の水温にするのがほづ望ましい方法であると思うが、自然界の温度は変化しており、必らずしも現場水温に固執できない面がある。また、河川水を流れていく細菌の環境と付着層に生息している細菌の環境とは同じではないであろう。そこでフロラを決定する平板の培養温度を、5℃,20,30,37と変化させて生じたコロニ-を計数した。それに際しコロニ-形成曲線を作り、FORモデルのλ,trの係数の計算を行い,河川水質との関連を明らかにした。生じたコロニ-数は20℃で培養した時の値が年間を通じて最も高かった。30℃の培養はほゞこれに近く、5℃と37℃の培養によるコロニ-数は季節性が認められた。コロニ-を形成しない染色される菌数は、2桁ほど高いので、20℃培養した平板でフロラを検討するのが、最もよいと考えられる。コロニ-形成に要する時間は、培養条件で異ったが37℃で培養される細菌が有機物量の変動と相関を持って変動し、赤色を示すコロニ-の変動は有機物量と逆相関をもって変動した。培養温度を変える事により、フロラの断面を明らかにすることが出来た。
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