1988 Fiscal Year Final Research Report Summary
ダム湖における淡水赤潮原因種の増殖過程の現場設置型マイクロコズムを用いた解析
Project/Area Number |
63540521
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生態学
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
川端 善一郎 愛媛大学, 農学部, 助教授 (80108456)
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Project Period (FY) |
1988 – 1989
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Keywords | ダム湖 / 淡水赤潮 / 渦鞭毛藻 / ケラチウム / マイクロコズム / 溶存有機態リン / 内部負荷 / 流入河川水 |
Research Abstract |
渦鞭毛藻Ceratium hirundinellaの淡水赤潮が発生する愛媛県松山市にある石手川ダム湖の上流端に培養条件の異なる複数個のマイクロコズムを設置し、マイクロコズムの外側および各マイクロコズムにおける水質、C.hirundinellaおよびプランクトン群集の動態を相互に比較し、C.hirundinellaの現場における増殖条件の解析を試みた。得られた主な知見は以下の通りであった。 1.ダム湖上流端の湖水と流入河川水の水質分析を1988年5月11日より同年9月17日まで約2日おきに行った結果以下の事が明らかになった。 (1).多量な河川水の流入直後、湖内の溶存機態リン濃度が上昇した。流水中には溶存有機態リンがほとんど存在しなかったことから、湖水の溶存有機態リンの増加は湖の内部負荷によるものと考えられた。また流入水がほとんどない時期においては、植物プランクトンの増加に伴って溶存有機態リンが増加した。 (2)4溶存有機態リンの増加の後、C.hirundinellaが増加したことから、C.hirundinellaは従属栄養的生理特性を有する植物プランクトンであることが示唆された。 2.ポリエチレン容器(130l)にダム湖上流端湖水のみを入れたマイクロコズムとこれにダム湖上流端底泥を入れたマイクロコズムを現場に設置し、水質とC.hirundinellaの動態を調べ以下の結果を得た。 (1).いずれのマイクロコズムにおいても硝酸態窒素の濃度の減少が著しく、またC.hirundinellaが増加しなかったことから、硝酸態窒素のC.hirundinellaに対する増殖効果が示唆された。 (2).底泥を有するマイクロコズムでは溶存有機態リンの増加がみられ、底泥なしのマイクロコズムと比べてC.hirundinellaの減少率が小さかったことから溶存有機態リンの増殖効果が示唆された。
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