1989 Fiscal Year Annual Research Report
植物の成長分化における細胞壁微小管と細胞壁ミクロフィブリルの役割に関する研究
Project/Area Number |
63540528
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
宝月 岱造 東京大学, 農学部, 助教授 (10107170)
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Keywords | 微小管 / 細胞壁ミクロフィブリル / 成長パタ-ン / 茎頂 / 幼葉鞘 / 光 |
Research Abstract |
前年度に引き続き表層微小管と細胞壁ミクロフィブリルの配列及び成長パタ-ンの関係をさらに詳しく調べた。また、光による成長抑制と微小管、細胞壁ミクロフィブリルの配列との関係についても検討した。その結果以下のような知見を得た。 1.茎頂:裸子植物のあるものは、被子植物と違い外衣が明瞭でなく成長パタ-ンも違っている。そこで、茎頂の組織構造の差と微小管配列との間に関連がみられるかを調べた。その結果外衣構造の有るものと無いものとでは頂端表層細胞の微小管配列に明らかな違いがあり、しかもそれらは成長パタ-ンによく対応していることが解った。 2.幼葉鞘:伸長成長するマカラスムギの幼葉鞘では内部組織は生長の原動力として積極的に伸長しようとする。一方、表皮は逆に内部組織とバランスをとるかのごとく縦方向への伸長を抑えるような力学的性質を示す。そこで、内部組織と表皮とで微小管と細胞壁ミクロフィブリルの配列を調べたところ明らかな違いがあり、しかもそれらは両組織の力学的性質の違いによく対応していることが解った。 3.光の影響:暗所で育てたアベナの中胚軸、幼葉鞘、エンドウの上胚軸では、伸長部の皮層細胞の微小管は伸長軸に垂直に配列し、表皮細胞では垂直、斜め、平行な配列を持つ細胞が混ざっている。これに強い光を当てると伸長が停止し微小管は皮層細胞でも表皮細胞でも伸長軸に対し、より平行へと変化する。しかし、微小管配列の変化は成長停止の後に起こるようなので、成長停止の直接の原因ではないと思われる。また、光照射による微小管配列の変化が起こるためにはIAA量の減少が必要であることが、アベナ中胚軸で示唆された。
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[Publications] 岩田和佳: "Orientation of wall microfibrils in Avena coleoptiles and mesocotyls and in Pisum epicotyls." Plant & Cell Physilogy. 30. 749-757 (1989)
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[Publications] 岩田和佳: "The effects of light irradiation on the orientation of microtubules in seedlings of Avena sativa L.and Pisum sativum L." Plant & Cell Physiology. 30. 1011-1016 (1989)
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[Publications] 宝月岱造: "植物の微小管" 細胞. 21. 287-291 (1989)
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[Publications] 宝月岱造: "The arrangement of microtubules in leaves of monocotyledonous and dicotyledonous plants." Canadian Journal of Botany. 12月号. (1989)