1988 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞におけるストレス化合物の生成誘導に関する研究
Project/Area Number |
63540529
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西 荒介 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (50019098)
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Keywords | ニンジン / ストレス化合物 / ファイトアレキシン / 6-メトキシメレイン / キチナーゼ / エリシター |
Research Abstract |
1.ニンジン細胞は細胞壁由来のオリゴウロン酸やエチレン等をエリシター(誘導物質)として、そのファイトアレキシンである、6-メトキシメレインを生成するがその生合成経路は明らかでなかった。われわれは予めエリシターで処理したニンジンの根の組織片より無細胞抽出液を調整し、それにアセチルCoAとマロニルCoAを与えて6-ヒドロキシメレインを生成させることに成功した。この反応はポリケタイド経路を通るものと考えられ、NADPHが補酵素として必要で、生成物はニンジンのO-メチル転移酵素の作用で最終産物である6-メトキシメレインに変換された。両酵素とも正常なニンジンには存在せず。適当なエリシターで前処理した場合にのみ活性が現れた。酵素の性質等についてはなお研究を継続して検討中である。 2.ニンジンでは菌の感染等のストレスを受けた時、ファイトアレキシンの外に各種のフェノール性化合物の生成が促進される。この場合、まずニンジン細胞にキチナーゼが誘導され、その作用によってエリシターとなるキチンオリゴマーが糸状菌の細胞壁から遊離される。ニンジンの培養細胞は通常ほとんどキチナーゼ活性を示さないがエチレンまたはその前駆物質を与えると急速に活性上昇がおこった。酵素の大部分は細胞外に放出されるので、培養液中の酵素をゲル濾過法で精製したところ活性は4つの区分に分れた。そのうちの2種の酵素はエキソ型で、キチンを分解してキトビオースのみを生成した。それに対し、他の2種はエンド型の酵素でいろいろな大きさのキチンオリゴマーを生じた。ニンジンに誘導されるキチナーゼはストレスの種類によっても異り、糸状菌の細胞壁や培養濾液等を与えた場合に生成されるキチナーゼはすべてエンド型でエキソキチナーゼは誘導されなかった。
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[Publications] Fumiya,Kurosaki: Phytochemistry. (1989)
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[Publications] Fumiya,Kurosaki: Plant and Cell Physiology.