1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540549
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 道夫 名古屋大学, 理学部, 助教授 (70022671)
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Keywords | 花粉 / プロトプラスト / テッポウユリ / 花粉管伸長 |
Research Abstract |
テッポウユリの開花一日前の蕾から無菌的に花粉を得て、酵素処理によってプロトプラストを生成した。生成率は蕾によって大きな差があったが、花粉の発芽率とほぼ相関関係にあることを確め、あらかじめ一部の花粉を使用して発芽テストをするこで蕾を選択すれば、常に80%以上のプロトプラスト生成率を得ることができた。花粉プロトプラストは培養すると一日以内に細胞壁を再生し、液胞が発達して2〜3倍の体積に巨大化した。このような再生花粉を固定染色して観察したところ、生殖核が分裂しているもの、およびすでに3核になっているものが多数あった。このことは花粉としての1つの機能、生殖核の分裂によって受精可能な2個の精核の形成という機能を再生花粉も保持していると示唆した。また培養二日後の再生花粉の高率発芽を目的として培地の検討を行い、60%以上の発芽率を得ることができた。上記の結果は、生殖核の分裂および発芽・花粉管の伸長という花粉独特の機能が、花粉を一度プロトプラスト化することによっても失なわれないことを示した。 次に再生花粉を柱頭上にのせ、花柱への花粉管の伸長を検討した。再生花粉は細胞壁がうすいので柱頭上での乾燥に弱く、また培養中の再生花粉を濃縮しても柱頭にのせる量が限られるので、種々ののせ方を孝案して試みた。また花柱内を伸長している花粉管を染色によって観察する方法の改良も行った。その結果、再生花粉の花柱内での伸長は確認できたが、最長で2cmに至らず、さらに改良する必要があった。 一方テッポウユリ以外の植物種について花粉からプロトプラストを分離できるかどうかの条件の検討も行った。双子葉植物43種のうち4種、単子葉植物18種のうち14種から分離できた。この植物群による差は、花粉のもつ発芽孔(発芽溝)の大きさによるものであった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ichiro,Tanaka: Physiol.Plant.
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[Publications] Michio,Ito: Plant Cell Physiol.
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[Publications] Masahiro,Nishihara: Plant Science.