1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540553
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
田坂 昌生 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90179680)
|
Keywords | 細胞性粘菌 / 細胞分化 / 遺伝子発現の調節 |
Research Abstract |
細胞生粘菌(Dictyostelium discoideum)は多細胞体形成後、二種類の細胞(予定柄細胞と予定胞子細胞)に分化する。本研究は、この細胞の分化過程において特異的に発現する遺伝子の発現調節機構を調べている。すでに我々は幾つかの細胞型特異的遺伝子に対する相補的DNAおよびそれに対応したゲノムDNA断片を単離しそれらの基本的性質について知見を蓄積していた。本年度は、それらを基にして次のような研究の進展をみた。 1.我々の得た遺伝子ならびに他のグループにより得られた遺伝子の分化細胞においてみられる特異性は、発現が転写レベルで調節された結果かmRNAの安定性に起因するのかを単離核を用いたin vitro転写系(run on)により調べた。その結果これらの遺伝子は、細胞の分化に伴い新たに転写を開始するものと発生過程や細胞分化に関係なく常に転写されmRNAの安定性に差が生じると思われるものとに分けられた。 2.これら細胞型特異的遺伝子の発生過程における発現を詳しく調べたところ、これらの遺伝子は発現パターンより幾つかのグループに分類された。これは細胞の分化過程にステップが存在することを示唆する。 3.予定胞子細胞の分化に伴って転写を開始する遺伝子二種(発現の時期が少し異なる)について転写の調節機構を調べるため、遺伝子の5´上流域ゲノム断片とマーカー遺伝子を継げたキメラ遺伝子粘菌細胞に形質導入し、導入した遺伝子の発現を調べた。その結果、実験に用いた5´上流域内に特異的発現に関与する。DNA領域が存在することが明らかになった。次により短い5´上流域を導入することで発現を調節するDNAの領域を限定する実験を現在行っており、それぞれの遺伝子につき現在約100bpと300bpに狭まりこの中をさらに詳しく調べている。又このゲノムDNA領域に結合する核内因子の検索も行っている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ozaki T.: Cell Differentiation. 23. 119-124 (1988)
-
[Publications] Takeuchi I.: Development Genetics. 9. 607-614 (1988)
-
[Publications] Tasaka M.: Differentiation. 39. 4-16 (1988)
-
[Publications] Tsang A.: Development Genetics. 9. 237-245 (1988)
-
[Publications] Takeuchi I.: Genom.
-
[Publications] 田坂昌生: 遺伝. 42. 57-63 (1988)