1988 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫におけるN-アシルドーパアミン誘導体の種類と働らき
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63540570
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
梅鉢 幸重 金沢大学, 理学部, 教授 (00019465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 ゆみ 金沢大学, 理学部, 助手 (90019505)
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Keywords | 昆虫 / パピリオクローム / N-β-アラニルドーパアミン / N-アセチルドーパアミン / キヌレニン / クチクラの硬化 / β-アラニン / ドーパアミン |
Research Abstract |
当初の研究計画の線に沿って実験が行なわれている。 1.ナミアゲハの蛹期間中のN-アセチルドーパアミンとN-β-アラニルドーパアミン(NBAD)の量的変化を詳細に調べ、キヌレニンとNBADとがそれぞれ遊離の形で翅又は鱗粉に入り、そこで両者が結合してパピリオクロームIIが形成されることが分って来た(その結果は、札幌での動物学会大会で発表。現在論文作成中である)。 2.パピリオクロームIIの酵素的合成を、キヌレニン、NBAD、チロジナーゼをインキュベートすることによって研究中である。確かにフェノールオキシダーゼによりキヌレニンとNBADが結合することが分った(この結果は63年度日本トリプトファン研究会で発表)。 3.キアゲハの翅の濃黄色色素については、その化学的性質が詳細に調べられ、これがパピリオクロームIIと同様キヌレニンとNBADより成ることを明らかにした(その結果は、札幌での動物学会で発表。現在、Comp.Biochem.Physiol.に投稿中)。 4.ナミアゲハの蛹期間中の不溶性結合型β-アラニンについては、後翅赤斑出現期より漸次増加すること、そしてこの時期にはグルコサミンがすでに多量に体壁および翅に入り込んでいることを明らかにした。キチンはクチクラの硬化とは関係なく、その以前よりクチクラに入っていると考えられる。 5.キイロショウジョウバエの囲蛹殻クチクラにおけるタンパク質の硬化については、ずっとy,b,eを使って調べており、yでβ-アラニンのアミノ基は45%しか遊離しておらず、残りは何らかの結合をしていることが分った。またyとeを比較すると、β-硬化の割合がeで多いことを更に正確に確認しており、一方キチンはyとeでは量的に差のないことも確かめた。 6.ベニモンアゲハの赤色色素の研究については、N-β-アラニルノルエピネフリンの合成を引続き行なっている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Umebachi,Y.: Progress in Tryptophan and Serotonin Research. 1986. 405-408 (1987)
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[Publications] Ishizaki,Y.: Comp.Biochem.physiol.90C. 83-87 (1988)
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[Publications] Umebachi,Y.: Comp.Biochem.physiol.94B. (1989)
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[Publications] 梅鉢幸重: ""蝶の翅の色素、とくに系統・分類との関係について"蝶類学の最近の進歩、日本鱗翅学会特別報告" 日本鱗翅学会, 427-446 (1988)
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[Publications] Umebachi,Y.: ""Kynurenine in Invertebrates"In Quinolinic Acid and the Kynurenines ed.by T.W.Stone." CRC Press,Inc., 283-292 (1989)