1988 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ卵巣におけるエクジステロイド結合型の代謝活性
Project/Area Number |
63540572
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大西 英爾 名古屋大学, 理学部, 教授 (60022521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 進 山口大学, 教養部, 教授 (90022665)
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Keywords | エクジステロイド結合型 / カイコ / 卵巣 |
Research Abstract |
カイコの卵巣はエクジステロイドの遊離型および結合型を蓄積している。私たちは、エクジステロイド結合型の分離・精製方法を確立し、6種の主要結合型を単離した。種々の機器分析の結果、これらはエクジソンー22ー燐酸、20ーヒドロキシエクジソンー22ー燐酸、2ーデオキシエクジソンー22ー燐酸、2ーデオキシー20ーヒドロキシエクジソンー22ー燐酸、2,22ージヒドロキシー20ーヒドロキシエクジソンー3ー燐酸、およびボンビコスチロールー3ー燐酸であると確定した。私たちは、カイコの卵巣のホモジェネート系に放射性アイソトープでγPをラベルしたATPを加えて保温し、遊離のエクジステロイドから結合型が生成するかどうかを調べたところ、高性能薄層クロマトグラフィーによって、天然のエクジステロイド結合型と全く同じ反応生成物を与えることを、オートラジオグラフィーによって確認した。高速遠心法によって細胞分画をしたところ、この酵素活性は主としてCytosol分画にあった。また、脂肪体のホモジェネートにも同様な酵素活性が認められた。反応生成物はフォスファターゼ処理によって元のエクジステロイドと無機燐酸を与えることから、天然物と同じ結合型を生じているものと思われるが、尚機器分析によりその構造の確定を行ないつつある。カイコの卵巣には2種の酸性フォスファターゼが存在している。部分精製を行なった標品とエクジステロイド結合型を保温することにより、結合型の分解をみた。しかしながら一般にカイコ卵巣に存在する結合型は分解され難く、僅かに2,22ージデオキシー20ーヒドロキシエクジソンー3ー燐酸が若干分解されたのみで、ボンビコステロール・3・燐酸は全く分解されなかった。以上の結果から、エクジステロイド結分型の合成にはATPの燐酸がキナーゼによって渡されている可能性が高いが、その分解にフォスファターゼが関与しているかどうかは、尚検討を要すると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hiramoto,M.;Fijimoto,Y.;Kakinuma,K.;Ikekawa,N.;Ohnishi,E.: Experientia. 44. 623-625 (1988)
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[Publications] Ohnishi,E.;Hiramoto,M.;Fujimoto,Y.;Kakinuma,K.;Ikekawa,N.: Insect Biochemistry. in press. (1989)
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[Publications] Shimizu,T.;Ohnishi,E.: Zoological Science. 6. 177-179 (1989)