1988 Fiscal Year Annual Research Report
軟体動物心拍動の調節機構-調節ニューロンと伝達物質の同定-
Project/Area Number |
63540575
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小林 惇 広島大学, 総合科学部, 教授 (50033981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 正昭 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10100976)
宗岡 洋二郎 広島大学, 総合科学部, 教授 (40031330)
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Keywords | 軟体動物 / 心臓拍動調節 / 中枢神経節 / 神経伝達物質 / セロトニン / 神経ペプチド / 生物検定 / 生理活性物質の単離精製 |
Research Abstract |
軟体動物アフリカマイマイでは、既に9個の心拍調節ニューロンが同定され、うち6個は心拍増強に関係することがわかっている。本研究では、中枢神経節-腸神経-心臓から成る標本を用い、心拍動に対する神経刺激や神経伝達候補物質の効果、心拍増強ニューロンの働き、それらに及ぼす神経ペプチドの修飾作用などを調べ、さらに脳神経節細胞の作用様式を薬理作用からチャネルの解析まで掘り下げて研究して、心拍動調節機構を考察した。その結果、次のことが明らかになった。脳神経節に存在する一対のセロトニン(5-HT)性ニューロンが、食道下神経節の心拍増強ニューロンに対して興奮性の調節作用を及ぼし、心拍増強効果を促進した。即ち、5-HTが膜の受容体につくと、K^+チャネル閉鎖-Ca^<2+>流入増加-活動電位持続時間の延長-伝達物質分泌量増加という機構が示唆された。神経ペプチドのフマファミド(FMRFa)は、5-HTと拮抗的に作用し、心拍増強ニューロンの活動を抑制した。一方、心拍増強ニューロンから心臓への経路では、5-HTが恐らく主な伝達物質として働き、その増強効果はFMRFaによって促進的に、別の神経ペプチドSCP_Bによって抑制的に修飾された。FMRFaは心拍増強ニューロンに働きかけてその伝達質分泌を減少させるとともに、心臓におけるその働きを増強して、伝達物質の作用効率を増大させいている可能性が示唆された。 一方、アフリカマイマイ約600個体から、脳-食道下神経節と心室・心房を別々に摘出し、その抽出物をゲル濾過して、各画分をアフリカマイマイ心臓、口筋及び陰茎牽引筋の標本を使って生物検定し、HPLCを用いて精製を進めた。その結果、少なくとも三種類のペプチド性心拍増強物質と、二種類のアセチルコリン様活性を示す物質の存在を確認した。今後は、各物質をさらに精製して構造決定すると共に、免疫抗体法やアフイニテイ・クロマトグラフ法を適用して、各物質の局在を調べる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Akagawa, Masami.: Comparative Biochemistry and Physiology. 89C. 327-331 (1988)
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[Publications] Furukawa, Yasuo.: Journal Experimental Biology. 137. 319-339 (1988)
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[Publications] Furukawa, Yasuo.: Experientia. 44. 738-740 (1988)
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[Publications] Kobayashi, Makoto.: Biological Bulletin.
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[Publications] Hori, katsuhiko.: Journal of Neurobiology.