1989 Fiscal Year Annual Research Report
カエル胚発生におけるガドヘリン遺伝子群の発現様式に関する研究
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63540577
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野村 一也 九州大学, 理学部, 助手 (30150395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山名 清隆 九州大学, 理学部, 教授 (20037162)
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Keywords | E-カドヘリン / N-カドヘリン / V-カドヘリン / 血管内皮 / カルシウム / アフリカツメガエル / 両生類 / 細胞接着 |
Research Abstract |
私達はアフリカツメガエルのCa^<2+>依存性細胞接着分子カドヘリンが胚発生にともなってどのように遺伝子発現を変化させていくかを解析しようとしている。このため私達の前年度に同定した血管内皮細胞の接着分子であるV-カドヘリンの抗体(FAD-I)と遺伝子(λV1)を用いて胚発生に伴うV-カドヘリンの発現様式を調べた。その結果、V-カドヘリンはオタマジャクシに於いて血管の集中している表皮外層部や血管内皮に局在しており別に調べたカエルN-カドヘリンやE-カドヘリンの分布とは全く異なることがわかった。こうして尾胚芽期以降確実に発現するV-カドヘリン分子(140kDa)が胚から成体に至るまでたしかに血管内皮に局在していることそしてそれらがN-、E-カドヘリンとは異なるものであることが示された訳である。またV-カドヘリンのcDNA部分クロ-ンλV1を用いて初期胚をNorthern blotすると、V-カドヘリンの1/2以下の分子量の分子と交叉することが判明した。抗体FAD-Iもこの分子を認識しかつFAD-Iは胞胚期以前のCa^<2+>依存性の割球間接着を完全に阻害することがわかった。この分子こそ私達が従来もとめていた初期胚型Ca^<2+>依存性細胞接着分子であると考えられ、λV1を用いた卵母細胞のcDNAライブラリ-のスクリ-ニングによって多くの全長クロ-ンを得て解析中である。 カドヘリン遺伝子の注入実験としては、卵母細胞にE-、N-、V-カドヘリンの部分的塩基配列より設計したアンチセンスオリゴヌクレオチドを注入し、それらの母性RNAを内在性RNaseH活性で消去し、その卵母細胞を成熟排卵させ人工受精させてカドヘリンの細胞間接着と割球分化での役割を調べる実験を行いつつある。アンチセンスDNAの毒性除去法が確立できたので、注入実験を行っているところであり今後の結果を期待している。
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[Publications] Tajima,T.: "Vascular cadherin:A novel Ca^<2+>dependent cell adhesion molecule of frog endothelial cell" Nature.
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[Publications] Nomura,H.: "N-cadherin:A major cell adhesion molecule of frog brain cells" Cell Differentiation.
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[Publications] 野村一也: "細胞接着分子と形態形成" 生体の科学. 41. (1990)