1989 Fiscal Year Annual Research Report
Septate Junctionの水、イオンおよび溶質透過性に関する研究
Project/Area Number |
63540584
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Research Institution | Faculty of Science Osaka City University |
Principal Investigator |
惣川 まりな 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (60047199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 洋之 大阪市立大学, 理学部, 助手 (20169577)
野田 幸一 東京都老人総合研究所, 主任研究員 (00073007)
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Keywords | Septate junction / 不透過結合 / 制御機構 / ヒトデ幼生 / 膜電位 / 二価陽イオン |
Research Abstract |
無脊椎動物の上皮細胞間結合構造であるセプテ-ト結合の生理的開閉機構につき、本年度(平成元年度)は、以下の解析を行った。 なお、解析の材料としてはヒトデの幼生を用い、開閉の有無は、処理環境に同時に与えた巨大分子(蛍光ラベル付き)が幼生の胞胚腔内に検出されるか否かで判定した。 (1)細胞膜上のイオン・ポンプの関与:昨年度の、KClを与えた場合の結果から示唆された膜電位の関与を確認する目的で、NA^+ポンプの阻害剤であるウアバイン(0.2mM)で幼生を処理したところ、多くの個体の胞胚腔内にマ-カ-分子の蛍光が認められた。このことから、膜電位の関与の可能性はますます高くなった。 (2)細胞内伝達物質の関与:細胞内cAMPの関与を見るため、その濃度を上昇させる作用のあるtheophilin(10mM)およびdibutyl-cAMP(2mM)を用いたところ、前者は20〜30分の前処理により、幼生にマ-カ-を取り込ませたが、後者は10分〜30分の前処理によっても、septate junctionを開かせなかった。従って、この点については、明確な結論が得られなかった。 (3)細胞骨格系の関与:細胞骨格系の顕著な作用を持つCytochalasin B(5μg/ml)およびTPA(0.5〜5ng/ml)を用いたところ、いずれも幼生の形態を破壊してしまった。細胞骨格系は、細胞そのものや上皮構造の維持により深く関与しており、結合構造の開閉の制御には関与してしないと考えられる。 (4)結論:以上の結果は、septate junctionの不透過機能が膜電位依存性であることを強く示唆している。この結果は、tight junctionのそれが細胞骨格依存性であるという知見とは異なっている。今後は、この違いの所以を、生理的及び系統発生的に解明して行きたい。
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