1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540586
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山上 健次郎 上智大学, 理工学部, 教授 (50011474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 一郎 上智大学, 理工学部, 助教授 (10011694)
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Keywords | メダカ / 卵膜 / 卵形成 / 産卵雌特異(SF)物質 / 肝臓 / 卵膜形成 |
Research Abstract |
本研究課題のもとで意図した計画は、(1)産卵雌特異物質(SF物質)が真に卵膜成分の前駆体であるか否かをしらべるため、精製したSF物質を標識して卵巣卵膜へとり込ませること、および(2)免疫細胞化学的手法により、成長した卵巣卵又は未受精卵の卵膜におけるSF物質の局在性をしらべること、の二点が主なものであった。 (1)については、腹水より精製したSF物質をIodogenをコートした試験管中で〔I^^<125>〕ーNaIと保温することによりラベルし、これを産卵雌メダカの腹腔に注射してその行方を追跡した。その結果、注射後一時間では魚体中の全放射活性の約30%余りが卵巣に、約30%足らずが肝臓に、また約40%が残りの体の部分に分布するが、時間が経つにつれて卵巣への分布率が増大し、注射後6時間では約50%が、同14時間では60%近くが、さらに24時間では70%が卵巣に集中することがわかった。これと対称的に、肝臓や他の部分への分布率は低下し、注射後48時間では約80%の放射活性が卵巣に見出されるのに対し、肝臓では数%、他の部分では約15%前後となる。オートラジオグラフィーにより卵巣内の分布を見ると、注射後短時間では濾胞間腔所や血液中にある〔I^^<125>〕ーSF物質は時間とともに形成途上の卵膜に集中するようになる。この結果、SF物質は確かに卵膜物質の前駆体であるといえる。 (2)については、今年度内にSF物質に特異性の高い抗体を用いた免疫細胞化学的研究を行うまでには至らなかった。しかし、従来用いてきた抗卵膜糖タンパク質(F1)抗体を用いてしらべると、反応物質は卵膜内層の出現とともに出現する。また〔I^^<125>〕ーSF物質も卵膜外層にはとり込まれていない。従って、SF物質の局在場所は恐らく内層であろうと考えられる。今後この点はSF物質のモノクロン抗体を作りしらべる予定である。
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[Publications] Yasumasu,S.;I.Iuchi,;K.Yamagami: J.Biochem.105. 204-211 (1989)
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[Publications] Yasumasu,S.;I.Iuchi,;K.Yamagami: J.Biochem.105. 212-218 (1989)
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[Publications] Sasaki,T.;Y.Hyodo-Taguchi,;I.Iuchi,;K.Yamagami: Isozyme Bull.22. 38 (1989)
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[Publications] Sasaki,T.;Y.Hyodo-Taguchi,;I.Iuchi,;K.Yamagami: Comp.Biochem.Physiol.(1989)
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[Publications] Hamazaki,T.S.;Y.Nagahama,;I.Iuchi,;K.Yamagami: Dev.Biol.132. (1989)
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[Publications] Yamagami,K.: "Mechanisms of hatching in fish.in Fish Physiology vol.11A" Academic Press, 447-499 (1988)