1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540590
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大島 範子 東邦大学, 理学部, 助教授 (70057735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 良三 東邦大学, 理学部, 教授 (10045354)
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Keywords | 培養黒色素胞 / アドレナリン受容体 / 情報伝達 / カルシウム / イノシト-ルミリン酸 / カルモジュリン |
Research Abstract |
ティラピアの培養黒色素胞を材料にして、アドレナリン受容体の亜型の決定を試みた。α型受容体のうち、α_2型が約7割を占めるという結果が得られているが、実験例数をもう少し増加し、信頼性の高いデ-タとしたい。α_1型も一定の割合で存在することが確認されたので、この受容体を介しての情報伝達経路を検討した。培養黒色素胞を表面活性剤(ブリジ58)で処理し、膜の透過性を高めた後、inositol 1,4,5ーtrisphospate(IP_3)を投与すると色素顆粒凝集が見られた。IP_3の代謝物であるinositol 1,3、4,5ーtetraーkisphosphate(IP_4)は細胞外Ca^<2+>の流入を促進するとされているが、IP_4の投与は凝集を誘起せず、Ca^<2+>は細胞内で供給されると結論された。電子顕微鏡観察により、細胞膜直下に多数のピノサイトーシス小胞が存在することがわかったが、この小胞または、色素胞内に同じく多く存在する滑面小胞体の小胞から、Ca^<2+>が遊離してくるのではないかと考えられる。しかし、現段階では直接的証拠はない。他の組織細胞では小胞体膜上にIP_3の受容体が存在することがすでに報告されているので、IP_3がこれら受容体の結合した結果、Ca^<2+>が放出されると予想できる。このCa^<2+>はカルモジュリンに結合するという結果も得られた。カルモジュリンはCa^<2+>によって活性化されるが、活性型カルモジュリンを阻害するWー7は、ノルエピネフリンの色素顆粒凝集作用を抑制した。一方、プロティンキナ-ゼCを阻害するHー7はノルエピネフリンの作用を抑制せず、むしろ、ごくわずかにその作用が増強された。従って、プロティンキナ-ゼCは、色素胞内では遊離Ca^<2+>の濃度を減少させる方向に作用すると思われる。また、モネンシンやニゲルシンを使用して細胞内pHを低下させると、pH6.5以下で約15%の顆粒凝集が観察された。この結果は、色素顆粒凝集に関与する酵素(アデニレ-トサイクレ-スやダイニンATPase等)の活性低下や増大の結果であろうと推論された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nagaishi,H.,Oshima,N.and Fujii,R.: "Lightーreflecting properties of the iridophores of the neon tetra Paracheirodon innesi." Comp.Biochem.Physiol.95A. 337-341 (1990)
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[Publications] Oshima,N.,Inagaki,H.and Manabe,T.: "Evidence for involvement of dyneinーtubulin system in pigment aggregation within tilapia melanophores." Comp.Biochem.Physiol.96A. 517-523 (1990)
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[Publications] Ohshima,N.,Hayakawa,M.and Sugimoto,M.: "The involvement of calmodulin in motile activities of fish chromatophores." Comp.Biochem.Physiol.97C. 33-36 (1990)
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[Publications] Fujii,R.,Wakatabi,H.and Oshima,N.: "Inositol 1,4,5ーtrisphosphate signals the motile response of fish chromatophoreーーーI.Aggregation of pigment in the tilapia melanophores." J.Exp.Zool.(1991)