1988 Fiscal Year Annual Research Report
筋原細胞の増殖と分化を制御する液性因子に関する研究、ニワトリ胚抽出液からの精製とその作用機序の解析
Project/Area Number |
63540591
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10011595)
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Keywords | ニワトリ胚抽出液 / 線維芽細胞成長因子 / 筋芽細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 筋分化 / 筋形成 / 増殖因子 |
Research Abstract |
筋原細胞の増殖と分化を制御する液性因子の精製とその作用機序の解析を試みた。抽出材料をしてはこれまでin vitroで強い筋原細胞成長促進活性を持つことが知られていたニワトリ胚抽出液を、細胞としてはウズラ胚筋芽細胞を用いた。まず最初にニワトリ胚抽出液から硫安塩析、陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィーを用いて、筋芽細胞増殖促進因子の精製を試みた。 その結果、約10^5倍の精製度の標品を得ることに成功した。この因子はヘパリンセファロースカラムから2MNaClで溶出され、分子量約15,000〜17,000の単鎖ペプチドであった。この因子は1ng/ml以下の濃度でも筋芽細胞の増殖を促進し、同時に筋芽細胞の融合と分化を遅延させた。また、この因子は繊維芽細胞の増殖も促進した。筋芽細胞と繊維芽細胞に対するこの因子の有効濃度はほぼ同じであったが、増殖促進の程度は筋芽細胞の方がかなり高かった。この因子を同じくヘパリン結合性の成長因子であるウシ下垂体由来の繊維芽細胞成長因子(FGF市販品)と比較したところ、両者は分子量、化学的性質、有効濃度、筋芽細胞の分化遅延作用などで極めてよく似た性質を示した。このことは、我々が得た筋芽細胞増殖促進因子が、ニワトリのFGF、それもヘパリンカラムからの溶出性から考えて塩基性のFGFである可能性を強く示唆している。 この因子の筋芽細胞に対する作用から考えて、この因子が生体内での筋形成において重要な役割を果たしているのであろうことが推測された。 なお、上記因子の精製の過程で、ニワトリ胚抽出液中には上記因子の作用を強く増強する他の因子の存在が強く示唆された。現在この因子の分析をも行っている。
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Research Products
(1 results)