1990 Fiscal Year Annual Research Report
筋原細胞の増殖と分化を制御する液性因子に関する研究:ニワトリ胚抽出液からの精製とその作用機序の解析
Project/Area Number |
63540591
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 一郎 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10011595)
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Keywords | 筋発生 / 筋分化 / 筋原細胞 / 筋芽細胞 / 細胞増殖 / 繊維芽細胞成長因子 / 成長因子 / ニワトリ胚抽出液 |
Research Abstract |
昨年度に引続き,ニワトリ胚抽出液(EE)からかなりの程度の精製に成功していた,筋原細胞の増殖と分化の制御に関与すると考えられる繊維芽細胞成長因子様の因子の精製度を高めることを試みた.高速液クロの逆相系を用いて行ったが,残念ながらいくつか試みられた溶媒系では活性が失われてしまい,今年度も成功に至らなかった.したがって,当初目的とした精製標品を用いての諸実験計画は,それらの実行には至らなかった. ところで,筋芽細胞の増殖をかなり強力に促進する上記因子,あるいは繊維芽細胞成長因子が十分量加えられた培養液は,粗EEが加えられた培養液と比較すると,活性が著しく低いことが分かった.このことはEE中にはさらに未知の強力な筋発生促進因子が存在していることを示唆しており,それ(ら)の精製も併せて試みられたが,部分精製が進んだ段階にとどまっている. また,これまで液性因子のアッセイにはニワトリ,ウズラなどの初代培養筋原細胞が用いられてきたが,より簡便な系を確立することも試みられた.国際基礎生物学研究所の濱田博士より提供されたNIBB/QMは,ウズラ筋原細胞株で,37℃では増殖を続けて融合をしないが,41℃に強されると融合し,分化するというものである.しかし,NIBB/QMについては最適培養条件,筋分化の様相等に関する基礎デ-タが不足していたため,細胞密度の影響等について調べられた.その結果,温度による発生と分化の制御は予想されたほど厳密なものではなく,細胞密度が高い場合には37℃でも融合が起こると,41℃に移されると融合は誘導されるものの,その同調性はそれほど高いものではないこと等が分かり,アッセイのための細胞としての利用するためには,さらに条件の検討を必要であることが分かった.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ichiro Kimura,Junko Enomoto: "Effect of chick embryo extract on proliferation and differentiation of myogenic NIBB/QM cells." in preparation.
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[Publications] 木村 一郎: "トランスフェリン" 臨床検査. 34. 1549-1551 (1990)