1988 Fiscal Year Annual Research Report
プロラクチンの膵臓機能に対する制御作用とその機構の解析
Project/Area Number |
63540596
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
守 隆夫 東京大学, 理学部, 講師 (80011659)
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Keywords | マウス / プロラクチン / 膵臓 / 高血糖 |
Research Abstract |
本研究代表者により初めて報告された、高プロラクチン血症を示すマウスには、膵臓の過形成を多発するという事実を解明することを目的とした。 材料としてはBALB/c、SHN系マウスを用いた。約2カ月齢の雌雄マウスに、同腹の脳下垂体を1つ膵臓内に移植したものを実験群とした。対照群には脳下垂体と同じ大きさに切り出した顎下腺を移植したものを用いた。移植後、約5カ月で血中のグルコース量を測定したところ、実験群が高血糖を示すことが明らかになった。また、術後10カ月には膵臓の過形成、肝臓の肥大などが起ることも明らかになり、本研究代表者により発表された結果が再確認された。これらの事実は、招待された国際膵臓学会(昭和63年9月3日、イタリア、ヴェロナ)のシンポジウムで報告を行ない要旨集も刊行された。 高血糖と膵臓腫瘍の関係は、これまでいくつかの報告があり、その密接な同時発生はよく知られた事実であった。しかし、高プロテクチン血症により、高血糖と高膵腫瘍発生という事実はこれまで報告されていなかった。そこで次年度は、上記の事実が確かなことであることを再確認すると共に、膵腫瘍の多発する脳下垂体移植片をもつマウスの、血中インシュリン・グルカゴンレベルを測定して、高プロラクチン血症によって引起されると考えられる、マウス体内のホルモン環境を明らかにする予定である。この実験計画の一部はすでに開始されている。またプロラクチンの膵臓に対する作用を正確に知るため、膵臓細胞の培養系に直接プロラクチンを作用させる系について検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Mori: Int.J.Pancreatology,Suppl.2. Vol.3. S221 (1988)
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[Publications] T.Mori: "Effects of long-term treatment with prolactin on mammary gland,uterus,and pancreas in SHN mice,In:Prolactin gene family and its receptors,K.Hoshino ed." Elsevier Science Publishers B.V., 131-135 (1988)