1989 Fiscal Year Annual Research Report
プロラクチンの膵臓機能に対する制御作用とその機構の解析
Project/Area Number |
63540596
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
守 隆夫 東京大学, 理学部, 助教授 (80011659)
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Keywords | マウス / プロラクチン / 高プロラクチン血症 / 膵臓 / インスリン / 高インスリン血症 / 高血糖症 |
Research Abstract |
本研究は研究代表者により初めて報告された、高プロラクチン血症を示すマウスには膵臓の過形成が多発するという事実を基にして、プロラクチンの膵臓機能に対する作用を解明することを目的とした。 材料としてはSHN系マウスとBALB/C系マウスを用いた。50日齢の雌雄マウスに、同腹個体の下垂体を1個膵臓内に移植し、対照群には下垂体と同じ大きさに切り出した顎下腺を移植した。これら両群とも140日齢に屠殺して血中の血糖量、インスリン量、グルカゴン量などを測定し、さらに肝臓重量も測定した。結果は下垂体を移植され高プロラクチン血症を示すマウスが、対照正常群に比べて血糖値、インスリン値ともに高く、肝臓重量も重いことが明らかになった。しかし、グリカゴン値に差はみられなかった。 妊娠後期の婦人では血中プロラクチン値の上昇と、インスリン値の上昇が一致することから、この両ホルモンの緊密な関係は知られていた。最近、インスリンが子宮間質細胞のプロラクチン合成、分泌を促進すること、逆にプロラクチンが膵臓ランゲルハンス島のβ細胞からのインスリン分泌を促進することが明らかになった。本研究代表者により、高プロラクチン血漿が膵過形成を引き起こすことが発見され、さらに本研究によりインスリン値の上昇も確認された。しかし、インスリン値の上昇にもかかわらず血糖値が高いことが明らかになった。これらの結果は、プロラクチンが膵臓からのインスリン分泌を促進し、これとは別に血糖値を上昇させる機構が存在するものと考えられる。これらのことを明らかにするため、膵臓組織をバラバラにして培養し、直接プロラクチンを作用させる実験を開始した。
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