1988 Fiscal Year Annual Research Report
九州・琉球弧の始新世サブダクション・コンプレックスの対比
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63540613
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂井 卓 九州大学, 理学部, 助手 (70128023)
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Keywords | 始新統 / サブダクション・コンプレックス / 堆積相 / 深海扇状地堆積作用 / 前弧モデル / 付加過程 |
Research Abstract |
本年度は先ず(1)九州-琉球弧の始新世サブダクション・コンプレックスの比較・考察上基準となる九州の日向層群について、堆積相・変形相の特徴を整理し、形成環境を明らかにした。つまり、本層群は堆積・変形相の特徴を異にする4つの同時異相ユニットに識別でき、これらは堆積・構造地質学的性質から、海溝斜面上の乱雑堆積物、海溝充填の泥質タービダイが浅所で剥ぎ取られた付加体、さらに深部で変成作用を伴って底付けされた付加体からなる付加体主部と、前弧海盆での深海扇状地堆積体とに比較できた。そして、沈み込み型前弧の復元を行い、従来の前弧モデルの検証を行った(坂井・艸場、1989)(2)日向・日南両層群の前弧海盆堆積物について堆積相・古流系解析から、沈み込み、非沈み込み型前弧での堆積システムの違いを指摘した(坂井・艸場、1989;艸場・坂井、1989準備中)、(3)日向層群での付加変形の特徴を記載し、その造構環境と付加作用との関係について構造地質学的観点から整理した(坂井・1989b)。また付加造山帯におけるメランジュ問題の歴史的変遷ならびに沈み込み-付加造構作用との関連性について整理した(坂井、1989b)。(4)琉球、特に奄美大島東部での調査からは、微化石証拠から、琉球弧四万十帯の地体構造上、始新続が白亜系に挟まれて出現する事実が明らかになった(坂井・横田、1989準備中)。また、同地域始新統の堆積相解析からは、九州と異なる前弧海盆の深海扇状地堆積作用が示される(坂井、1989:西日本支部例会口頭発表)。(5)九州-琉球弧間の前弧堆積システムと前弧形成の発達史の相違が明らかになった(艸場・坂井、1989日本地質学会大会口頭発表予定)。 今後の研究として、特に琉球弧始新統の構造解析を行い、その記載と造構過程の研究を行い、地域的変化とフィリピン海プレートの生長発達過程との関連性を攻究する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 坂井卓・艸場敬: 堆積学研究会報. 30. 1-16 (1989)
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[Publications] 坂井卓: 構造地質研究会誌. 34. (1989)
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[Publications] 坂井卓: 構造地質研究会誌. 34. (1989)
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[Publications] 坂井卓・横田愉: 地質学雑誌.
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[Publications] 艸場敬・坂井卓: 地質学雑誌.