1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540620
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Research Institution | Tsukuba University |
Principal Investigator |
増田 富士雄 筑波大学, 地球科学系, 講師 (30091929)
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Keywords | 古東京湾 / 潮汐三角州 / バリア-島 / ウオッシュオ-バ-堆積物 / 堆積相解析 / 更新世 / 下末吉期 |
Research Abstract |
この研究では、現在の日本列島ではほとんどみられないバリア-島が、12〜13万年前の下末吉期とよばれる高海面期の古東京湾に存在したことを明らかにし、バリア-島の堆積相モデルをつくった。本年度の調査は霞ヶ浦東岸の茨城県玉造町で発見された上げ潮潮汐三角州の現地調査を主体に、古東京湾のバリア-島の復元を試みた。 上げ潮潮汐三角州が陸上で直接観察できる貴重なフィ-ルドだからである。上げ潮潮汐三角州は三角州のラグ-ン側への前進で形成される。また、一般の三角州同様、底置層、前置層、頂置層に3分できる。底置層はリップル葉理をもった細粒砂層と泥層の細互層で、生痕化石がみられる。前置層は高さ7〜8mで緩く傾く大きなフォ-セット構造が認められる細〜中粒砂層で、生物擾乱が著しい、頂置層は平行葉理や斜交層理の発達した中〜粗粒砂層からなり、潮汐堆積物が認められる。全体で上方粗粒化のシ-クエンスを示す。 また、潮汐三角州の堆積物を直接覆って大規模な斜交層理や平行葉理が発達する地層がみられる。この地層には前置層などで普通にみられる生物擾乱がほとんどないことや、堆積時に形成された開口性のクラックなどが認められることから、この地層が急激に堆積したものと考えられる。すなわち、これはバリ-を越えた大波によって潮汐三角州に外洋から直接もたらされた、ウオッシュオ-バ-堆積物である。上げ潮潮汐三角州に堆積物を供給する、外洋とラグ-ンとの水路である潮流口が、ウオッシュオ-バ-堆積物で埋積されてしまうと、三角州はそれ以上発達できなくなり、その終焉をむかえるのである。さらにウオッシュオ-バ-堆積物には、堆積時に著しい断層や褶曲や液状化などの変形構造が発達したと考えられるものが含まれることから、地震津波の堆積物も含まれていたと思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fujio MASUDA: "Evolution of sand composition in the Kanto District,Central Japan" Ann.Repy.,Inst.Geosci.,Univ.Tsukuba. 14. 39-41 (1988)
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[Publications] Hiroko Okazaki: "Arcuate and bird5 foot deltas in the late Pleistocene Palaeo-Tokyo Bay" Geol.Soc.London,Spec.Pub.41. 129-138 (1989)
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[Publications] Fujio MASUDA: "T:dal pattern of diural inequality in Pleistoceme Paleo-Tokyo Bay" Ann.Rep.,Inst.Geosci.,Univ.Tsukuba. 15. 72-77 (1989)
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[Publications] 増田富士雄: "茨城県行方郡北浦村内宿の更新統の潮流堆積物にみられる堆積性の褶曲と断層" 筑波の環境研究(筑波大学). 12. 113-117 (1989)
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[Publications] 牧野泰彦・増田富士雄: "古東京湾のバリア-島" 日本地質学会第96学術大会見学旅行案内書, 49 (1989)
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[Publications] Asahiko TAIRA and Fujio MASUDA: "Sedimeutary facies in the active plate margin" TERRA Sci.Pub.Co., 732 (1989)