1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540634
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
松隈 明彦 国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (90108647)
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Keywords | トマヤガイ科二枚貝 / 新生代二枚貝 / 座標変換 / 形態解析 / 機能形態 |
Research Abstract |
トマヤガイ科の文献調査を行ない、生態・機能形態(Yonge,1969;Stanley,1970)、分類(Dall,1903;Lamy,1921;Chavan,1969;Coan,1977,1979;Popov,1980;Popov&Scarlats,1980)、進化・系統(Yonge,1969;Hain,1985)など研究上必要となる主要な文献を収集した。鳥羽水族館、菊池貝類研究所、国立科学博物館、東京大学海洋研究所、東北大学地質学古生物教室の標本を中心に、第三紀及び現生のトマヤガイ科二枚貝の分類学的再検討を始めた。青森県むつ市の浜田層よりクロマルフミガイ類を採集した。これらは従来、オオマルフミガイ、クロマルフミガイ、ミョウガダニフミガイ等に細分されていたが、肋の数、外形等の変異は連続的であり、量的形質の統計学的吟味が必要であることが分かった。鹿児島県大島郡瀬戸内町及び、喜界町上嘉鉄において、現生及び更新世ヒラセフミガイ類を採集した。西太平洋地域から報告されているヒラセフミガイ属(glans)は次の5種である。glans hirasei Dall,g.sagamiensis Kuro da d Habe,g.milligra nosa(Nomura d Zinbo),g.quadriangulata(Nomura d zinbo),g.pelseneeri Prashad.各種の再記載、集団標本に基づく個体変異の検討を行ない、投稿の準備を進めている。従来、明瞭に区別がつくと考えられていたg.hiraseiとg.sagamiensisは、個体変異の幅が大きく重なりあうことが分かり、同一種の一連の地理的変異の内に含まれる内地型、南方型なのか等慎重な検討が必要である。g.hirasei及びg.sagamiensisの外形、肋の伸長方向等を実体顕微鏡の描画装置を用いてデカルト座標上に描き、シーズスタッフキッド、キャンディなどコンピュータソフトに取込み、X軸-Y軸の交叉角、軸の伸長、圧縮により、一方の図形を他方に近づける操作を行なっている。形態的に近いヒラセフミガイ属の各種間では、座標変換による形態の誘導は難しくなく、今後、変わり易いパラメータの機能形態学、系統学的解釈が必要となる。
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Research Products
(1 results)