1988 Fiscal Year Annual Research Report
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63540635
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History |
Principal Investigator |
松島 義章 神奈川県立博物館, 学芸部, 専門学芸員 (20124521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 大二 神奈川県立博物館, 学芸部, 学芸員 (70132917)
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Keywords | 後氷期 / 海面上昇 / 暖流系種 / 黒潮の趨勢 / 熱帯種 / 亜熱帯種 / 造礁性サンゴ / 陸奥湾の海況 / 寒流系種 |
Research Abstract |
後氷期に入って気候の温暖化に伴う海面上昇と黒潮の北上は、日本列島の浅海水域に生息する貝類に大きな影響を与えた。本研究はこの浅海域の環境変化に対応して暖流系種が時間空間的にどのような変遷を経てきたかを明らかにして、黒潮の趨勢を解明することである。調査は三浦半島、房総半島を中心に、南は宮崎県日南海岸から宮崎平野、愛知県三河湾、北は青森県睦奥湾などで実施してその成果を記す。 宮崎県日南海岸から宮崎平野では、約7500〜7000年前にカモノアシガキ、タイワンシラトリガイなどの熱帯種が亜熱帯種に伴って産出する。これらの種の出現時期は南関東に比べて500〜1000年も早いことが明らかになった。 愛知県三河湾湾奥の衣ヶ浦湾では、上述の熱帯種を確認することができなかった。本地域では亜熱帯種のハイガイは1962年まで生息しており、その後消滅した。その消滅の原因は環境悪化によるもので海水温の低下によるものではないことがわかった。 三浦半島では逗子の低地と油壷湾の低地において、約6000年前と推定されるカモノアシガキを発見した。特に油壷湾の低地では、キクメイシ、アオバナイボヤギなどの造礁性サンゴを伴っていた。その産出状況は房総半島南端の沼サンゴ層によく似ている。このことは黒潮の影響が房総半島南端だけでなく三浦半島西岸にも及んでいたことを示す。 青森県陸奥湾では貝類群集の分布から、海水温を推察すると約6400〜5500年前は現在よりいくぶん温暖となっていた。約4500年前には寒流系種の南下を及ぼす温度低下をまねいたが、約3500年前には再び現在と同じかいくぶん温暖になった。現在と同じ海況となったのは約1500年前からであることが分ってきた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 松島義章・平田大二・奈良正義: 日本第四紀学会講演要旨集. 18. 134-135 (1988)
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[Publications] 松島義章: 日本地質学会関東支部シンポジウム 関東平野の地下地質-"沖積層"問題について-. 講演要旨集. 1-4 (1989)
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[Publications] 松島義章: 第3回「大学と科学」公開シンポジウム 新しい研究方法は考古学になにをもたらしたか. 予稿集. 7-19 (1989)
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[Publications] 松島義章: 神奈川県立博物館研究報告(自然科学). 18. 23-34 (1989)
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[Publications] 松島義章: 日本地質学会第96年学術大会 講演要旨. (1989)