1990 Fiscal Year Annual Research Report
恵山一青麻山新火山フロントに出現する火山岩の初生マグマ推定の試み
Project/Area Number |
63540640
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤巻 宏和 東北大学, 理学部, 助教授 (90133933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷中 利昭 東北大学, 理学部, 助手 (50202429)
青木 謙一郎 北東大学, 理学部, 教授 (00004276)
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Keywords | 新火山フロント / HFS / スパイダ-グラム / 帯状配列 |
Research Abstract |
本年度は陸奥燧岳火山の岩石試料を多数集収した。また試料個数の少なかったヒッ森火山と七時雨火山から更に試料を集め、造岩鉱物学的記載と、主要成分元素・微量元素の分析を行なった。全ての岩石試料がデイサイト質で著しく分化しているが、那須帯と鳥海帯の同程度の岩石と比較し、島弧にみられる火山岩マグマの帯状配列と整合的であるかどうかを検討した。 本火山列のデイサイト質火山岩のバリウム濃度は200ppm〜350ppmで那須帯や鳥海帯と比べても少ない。ストロンチウムは200ppm〜450ppmと濃度変化の幅が広く、他の火山帯と比較してもあまり明らかではない。ルビジウムは3ppm〜10ppm程で、那須帯の同程度の岩石よりも若干濃度が低いが、あまり明らかであるとは言えない。カリウムは0.8〜1.2%程度であり、那須帯のソレアイト系列の分化物とほぼ同じとみなせるHFS元素であるジルエニウムとニオビウムはそれぞれ、150ppm〜250ppm,2ppm〜8ppmで、両者とも那須帯の岩石より少ない。これらの帯状配列に敏感な元素は、恵山一青麻山新火山フロントが第四紀の火山岩の配列と、すくなくとも非整合的ではないということを示している。 ニオビウムはスパイダ-グラムに点示した時、島弧の岩石については著しい負異状を示すが、本火山フロントの場合、岩石はデイサイトであるため負異状はあるものの、その程度については判断できない。本火山フロントには角閃石が出現し、造岩鉱物学的には次の那須帯とは明らかに不整合である。これらの問題点は、当該年度のデ-タのみでは解決できないので、ストロンチウムや、ネオジウムなどの同位体組成と組みあわせ、総合的に判断して初生マグマを推定しなくてはならない。
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[Publications] 藤巻 宏和: "マグマの起源:地球化学的アプロ-チ" 火山. 34. 25-38 (1990)
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[Publications] 太田 岳洋: "大分県中部・由布鶴見火山群の地質と岩石" 日本岩石鉱物鉱床学会誌. 85. 113-129 (1990)
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[Publications] 新城 竜一: "中琉球粟国島、粟国層群東層の火山岩" 日本岩石鉱物鉱床学会誌. 85. 282-297 (1990)
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[Publications] 藤巻 宏和: "島根県隠岐、島後火山岩類のストロンチウム同位体組成の時間変化" 日本岩石鉱物鉱床学会誌. 86. 16-26 (1991)