1988 Fiscal Year Annual Research Report
流体包有物およびハロゲンからみた花崗岩マグマの晶出に伴う流体の挙動
Project/Area Number |
63540652
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
渡部 洵 広島大, 理学部, 助教授 (80033900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 和夫 山形大, 理学部, 助教授 (70159060)
添田 晶 広島大, 理学部, 教授 (60033817)
竹野 節夫 広島大, 理学部, 教授 (00033829)
星野 健一 広島大, 理学部, 助手 (80190198)
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Keywords | 流体包有物 / ハロゲン含有量 / 花崗岩マグマ活動 / 熱水流体 / 鳳翩山花崗岩体 |
Research Abstract |
研究対象である鳳翩山花崗岩体は、主成分組成でみるとKが日本の平均的花崗岩に比べてかなり多く含まれ、一方微量成分ではClが日本のそれに比べてかなり多く、最大約10倍濃集している(Ishihara et al.1984)。このことは、岩体を生じせしめた花崗岩マグマ中に、元々KやClが高濃度に存在したこと、更にこれらの元素が岩体を構成する珪酸塩鉱物(長石や黒雲母他)中に存在することに加えて、それらに含まれる流体包有物中にも存在する可能性を示唆してる。花崗岩マグマの晶出に伴う熱水流体の挙動を把握するという本研究の目的はここから発しており、本岩体を研究の対象として選んだ理由もこの点にある。野外調査およびサンプリングを実施し、研磨薄片を成作した。顕微鏡観察によれば、石英等に含まれる流体包有別は10μ以下で、その中でも4〜5μ程度の微細なものが大半を占める。従って、現時点では鏡下の観察のみを行っており、加熱および冷却実験にまでは至っていない。現在得られている知見には次のようなものがある。:1.鳳翩山花崗岩体は、黒雲母花崗岩、角閃石-黒雲母花崗岩、角閃石-黒雲母花崗閃緑岩の3つ岩相に分けられる。 2.これら3者の間には、今のところ流体包有物の相構成に差はみられず、又それらの空間的分布にも規則性は認められないようである。 3.それらのいずれにもKCl(又はNaCl)とみられる固相をもつ初成多相包有物が普遍的に見られ、一部には気相(CO_2?)に富む初成包有物も観察される。この結果は上述の予想と調和的である。他には気-液2相包有物が多くみられ、これは初成と二次成のものから成る。 今後は、比較的サイズの大きい包有物を探すと共に、微細なものでも加熱および冷却データを得るように工夫をこらすこと、ならびに黒雲母や燐灰石中のハロゲン含有量を測定し、両者のデータを対応させて考察していきたい。
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Research Products
(2 results)