1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63540658
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
大隅 一政 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (70011715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大政 正明 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (30092159)
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Keywords | 硫化鉱物 / コサライト / 結晶構造 / 席占有率 / 統計分布 / 放射光X線 |
Research Abstract |
ビスムス鉱(Bi_2S_3)と方鉛鉱(PbS)を端成分とするBi-Pb系に存在する硫化鉱物は知られているだけで12種の多きに及ぶ。天然には微小な結晶の集合体として得られるの系の鉱物は微小なるが故に各々の構造が充分に解析されているとは言い難い。その結果、この系に属する一連の鉱物相互の関係も不明な点が多く残されている。 一方、構造解析された鉱物に関しては、方鉛鉱を構造単位として、これが単位胞スケールでの双晶を形成し、各々の構造をなしていることが明らかになっている。単位胞スケールでの双晶の頻度は方鉛鉱の陽イオン席のPb/Bi(席占有率)によって規定されて各々超構造を生成すると言われているが、未だ明らかでない。 以上の様な問題点を解決するために本研究を行った結果は以下の通りである。 1)精密構造解析のための回折強度データを高精度で収集できる様な充分の大きさをもつ結晶の合成 2)微小な結晶しか得られない場合には、放射光X線による回折強度測定を行う。また得られた回折写真のシュミレーションを行うためのソフトウェア開発及び回折図形の作製 3)得られたコサライト(Pb_2Bi_2S_5)の回折強度収集及び構造精密化 コサライトの構造精密化の結果、Sriknishnau etc.により報告されていた構造中のPb及びS原子の統計分布は否定され、また微量に含まれているとされているCu原子も存在しないことが判明した。 本研究においては、結果的に精密構造解析に用いることのできる大きさをもつ結晶を得ることはできなかったが、今後は更に合成実験により適当な大きさの結晶を得ることによって、Pb/Biを決定し、超構造生成機構を明らかにする。
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