1989 Fiscal Year Annual Research Report
ジャワ島サンブングマチャン出土人類化石の年代に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63540660
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (90141986)
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Keywords | インドネシア / サンブングマチャン / 人類化石 / ジャワ原人 / ソロ人 / 出土層準 / 化学分析 / 年代決定 |
Research Abstract |
ジャワ島のソロ河河畔にあるサンブングマチャンからは、ソロ人に属すると思われる化石人類の頭蓋(1973年発見、Sambungmacan 1)のほか、日イ合同隊(代表者:日本側、渡邊直經;インドネシア側、D.KADAR)が1977年に行なった現地調査にともなって、著しく化石化したヒト脛骨骨幹片が出土している。しかし、いずれも表面採集品であって、その出土層準は明らかでない。本研究では、当地区からin situで採集された化石骨の分析を行ない、同じソロ河流域にある化石人類遺跡であるサンギランとトリニ-ルから発掘された化石資料に関する化学分析デ-タとの比較などをとおして、サンブングマチャン出土人類遺残、とくに脛骨化石の地質年代をについて若干の考察を試みた。 1977年の調査でKabuh Formation相当層の下部〜底部から採集された動物化石資料について、前年度に引き続きフッ素分析を行なった結果、固結した砂礫層出土の骨では、平均2.12%(標準偏差0.26%、n=11)、礫層産のものでは平均2.37%(標準偏差0.26%、n=9)であった。この値はサンギランやトリニ-ルのKabuh層下部〜底部にかけての化石が示すフッ素含量に匹敵する。また、リン含量との比(100*F/P_2O_5 ratio)をとっても同様であった。 問題のヒト脛骨片のフッ素分析値2.37%は、サンブングマチャンKabuh相当層下部・底部出土骨の呈するフッ素含量の範囲にはいるので、この層準に由来するとすれば、年代的にはジャワ原人に対比される可能性が高い。サンブングマチャンを含めたソロ河流域の第四紀地質に関しては1987-88年に再調査され、新たな化石資料が得られているので、今後、フッ素以外の元素の分析も併せて、他の層準の検討を行なう必要があろう。
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