1989 Fiscal Year Annual Research Report
有機色素含有高分子膜による位相共役波の発生と画像の記録
Project/Area Number |
63550029
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 一夫 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10110636)
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Keywords | 有機色素 / 位相共役波 / 画像記録 |
Research Abstract |
研究計画では、色素含有高分子膜が発生する2種類の位相共役波(飽和吸収成分とホログラフィ-成分)を干渉計測等に応用する観点から、記録機構の解明、時間応答特性等に関する実験を行う予定であった。しかしながら、これまで飽和吸収成分と思われていた位相共役波が時間とともにゆっくり変動することから、プロ-ブ光を遮断した時速く減衰する成分は2つの成分の干渉の結果生じた位相共役波ではないかとう疑問が生じてきた。 本年度は、プロ-ブ光の位相をPZTを用いて時間的に変調し、ホログラフィ-成分の発達を抑制して純粋な飽和吸収成分を測定し、変調しない場合に得られる2つの成分を含む位相共役波のデ-タから計算により2つの成分の位相差を調べた。試料としてはエリトロシン含有PVA膜を用いた。その結果以下のことが明らかとなった。 1.色素含有高分子膜から発生する位相共役波の飽和吸収成分は時間とともに指数関数的に減衰する。これは色素の退色のためと思われる。 2.位相共役波の強度が時間とともに強くなるのは、ゆっくり発達してくるホログラフィ-成分が飽和吸収成分と干渉して強め合うためであり、時間がたって2成分間の位相差がπ/2からπの間の値をとる場合には、逆に弱め合う現象が生じる。 3.2つの成分間に位相差が生ずる原因は現在のところ明らかではないが、記録されるホログラムの吸収型から位相型への変化や光照射によって発生した熱による色素含有高分子膜の膨張などが考えられる。
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Research Products
(2 results)