1989 Fiscal Year Annual Research Report
剥離を有する複合材パネルの座屈及び座屈後挙動に関する研究
Project/Area Number |
63550061
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Research Institution | SOPHIA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
末益 博志 上智大学, 理工学部, 助教授 (20134661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷津 勝久 上智大学, 理工学部, 助手 (40178439)
間島 理 上智大学, 理工学部, 助手 (90053678)
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Keywords | 複合材料 / パネル / 座屈 / 座屈後挙動 / 剥離 / Rayleigh Ritz / CAI |
Research Abstract |
複合材料は、層間の破壊靱性が小さく衝撃荷重などにより積層した層間に剥離を生じ易い材料である。剥離の発生により、引っ張り強度の低下はあまり問題にならないが、曲げ剛性が低下することに起因する座屈荷重の低下に伴う圧縮強度の減少が著しい。この現象はCompression After Impact(CAI)と呼ばれ、航空機などの複合材料構造物の設計上非常に問題となっている。本研究の目的は、損傷許容的な設計のためのデ-タを得るために、剥離の発生後の性能の劣化のメカニズムを明らかにし、CAI対策のデ-タを取得することである。本年度は、第一年度の研究成果にもとづいて、実際に用いられる状態に近いと考えられる織布積層複合材料パネルに関して、様々な剥離状態、すなわち剥離の大きさ・位置などのパラメタ-を変えて、圧縮実験を行った。本実験により、様々な剥離状態パラメタ-がパネルの圧縮特性の劣化・座屈などの構造安定問題にどの様に影響し、さらに最終破壊に至るプロセスにおいてどの様な役割をし、強度低下へ寄与するのかに関して多くの知見を得ることができた。また、変分原理に基づいて剥離領域の接触問題を考慮し得る解析理論を導き、メカニスティックなモデル化を行いRayleigh Ritz法を用いて展開して、座屈後の現象を取扱い得る簡便な解析手法を第一年度に開発したが、この手法の改良を行い、本問題に関しても適用し、座屈荷重および解析上シミュレ-トすることが非常に難しい二次座屈を含めた座屈後の挙動を解析した。この解析結果は実験結果をよく説明でき、本解析法を応用することにより、剥離の発生による複合材料パネルの圧縮特性の劣化メカニズムを明かにし得ることを確認することが出来た。今後この手法を用い、CAIの問題をさらに究明していく予定である。
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[Publications] 末益博志: "織物複合材の剥離進展方向と層間破壊靱性" 日本複合材料学会誌. 15. 266-272 (1989)
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[Publications] Hiroshi SUEMASU: "Compressive Behavior of Fiber-Reinforced Composite Plate with a Center Delamination" Advanced Composite Materials. 1. (1990)