1988 Fiscal Year Annual Research Report
極小熱流束点をはさむ膜沸騰、遷移沸騰における固液の接触状況と伝熱機構の実験的研究
Project/Area Number |
63550156
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庄司 正弘 東京大学, 工学部, 教授 (00011130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横谷 定雄 東京大学, 工学部, 助手 (00010869)
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Keywords | 膜沸騰 / 遷移沸騰 / 固液接触 / 極小熱流束 / 極大熱流束 / 温度変動 |
Research Abstract |
直径100mmの銅製過熱面を用い、大気圧下で水の沸騰実験を行い、膜沸騰から遷移沸騰にかけての伝熱機構、特に固液接触と熱伝達について研究した。この大きさの加熱面では、加熱面周辺の影響はない、実験では、非定常法により沸騰曲線を得ると共に、各沸騰領域において加熱面の温度変動をマイクロサーモカップルにより詳細に調べた。膜および核沸騰域では、温度はほぼ一定し変動は少ない。これに比べ、遷移沸騰域では大きく変動し、特に、平均的温度は連続したものではなく、あるところでジャンプすることがある。この事実は、最近発表されたウィッティらの仮説(遷移沸騰には機構の異なる2つのものが存在するとの説)と関連し興味ある結果である。遷移沸騰域において、温度変動から局所的な熱流束変動を計算したところ、熱流束は時々刻々大きく変動しており、上限は核沸騰の延長に、また下限は膜沸騰の延長にあることが判明した。一方、遷移沸騰においては、局所における加熱面の温度変動は実験ごとに様々となる。このことは、遷移沸騰においては面上の状態は一様ではなく、空間的な分布のあることを意味している。従来知られるカリニンの考えに基づいて、液体の接触面積割合を計算したところ、遷移沸騰の大部分で1%程度であり、極大熱流束点近傍でやっと約70%となる。この結果は、先に電気触針法により実測した値と非常に近い。 ところで、上記の結果は液体が比較的ぬれ易い面の場合のものである。接触角が大きくなると、膜沸騰がなかなか消滅せず、過熱度にして約20Kに至った後、核沸騰へ遷移する、数多くの実験の結果から、こうした状態に至るのは接触角が90度以上の場合に限られるようである。この事実は、遷移沸騰は単に固液の接触というだけでなく、ぬれ方に強く支配されることを示しており、従来報告のない興味ある事板であり、この点さらに将来詳細な研究が必要である。
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Research Products
(1 results)