1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550174
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長島 昭 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (80051514)
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Keywords | 溶融アルカリ金属 / リチウム / ナトリウム / 粘性率 |
Research Abstract |
今年度に行なった研究は、溶融アルカリ金属の粘性率について所期の成果を挙げることができた。その概要は下記の通りである。 1.回転振動法による高温用の粘性率測定装置を、現有装置に新しい電気炉部分を付加するなど、溶融アルカリ金属のために改良して使用した。 2.従来の高温融体の粘性率の研究では、回転振動法を用いる例があっても、その計算理論において、振動方程式が非常に複雑なために簡略化式に問題のある研究が多かった。本研究ではKestin-Newell式の厳密解にもとずいて計算を行なうとともに、不十分な近似式を用いた過去の研究と、どの程度の定量的な差が生じるかを調べた。その結果、溶融リチウムについては約30%にのぼる差が生じているが、溶融ナトリウムの場合にはこの点に関する問題は少ないことを明らかにした。 3.核融合研究に必要なリチウム、高速増殖炉研究に必要なナトリウムなどの粘性率を約1200Kまでの広い範囲にわたって測定し、その温度依存性を詳しく研究した。温度依存性は今回の上限までのアレニウス型であることがわかり過去の研究でこれに合わないAchenerらの値は不純物(NaOH)の高温域での分解による水素放出が影響したのではないかと推定された。またその結果を伝熱解析などに使用できる式にまとめた。以上のほか、関連する高温融体のひとつとして溶融リチウムクロライドの測定も行なって、温度依存性の特徴の違いなどを研究した。
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[Publications] A.Nagashima: Proc.2nd US-Japan Seminar on Thermophysical Properties,Gaithersburg. (1988)
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[Publications] Y.Ito: Int.J.Thermophys.(1989)
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[Publications] K.Minami: Int.J.Thermophys.(1989)