1988 Fiscal Year Annual Research Report
固体表面における液晶分子の配向エネルギーの定量測定とその制御に関する研究
Project/Area Number |
63550225
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 龍男 東北大学, 工学部, 助教授 (60091659)
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Keywords | 液晶 / 分子配向 / 表面配向 / 表面配向力 / 強誘電性液晶 |
Research Abstract |
強誘電性液晶はマイクロ秒オーダーの高速応答とメモリ性を有するために、オプトエレクトロニクス材料として高い関心を集めているが、均一な配向と良好なスイッチング特性やメモリ特性を得ることは極めて難しいと考えられてきた。これに対して、報告者はこれらの特性の良否は基板表面の配向力の強さに依存すると考え表面配向力の解析と制御を行うために各種の検討を行って、次のような知見を得た。 (1)高分子を塗布した基板表面を布で一方向に摩擦(ラビング)し、この表面が液晶を配向させる力(表面配向力)を定量的に測定する方法を初めて明らかにした。これはカイラルネマティック液晶の表面配向方向とラビング方向とのすれ角を光学的に測定し、弾性体理論から表面配向力を求めるものであり、高い再現性と精度を得ることができる。 (2)上記の方法で表面配向力を測定し、配向力がラビング密度と密接な関係があることを見出した。又、このことから、ラビング密度を調節することによって表面配向力を任意に制御できることを明らかにした。 (3)上記の方法で表面配向力を制御した強誘電性液晶セルの特性を検討し、表面配向力を従来より2〜3桁弱くすることによって理想的な特性が得られることを明らかにした。 (4)ラビングした高分子膜における表面配向力の発生機構を明らかにするために、触針式高精度段差計で表面形状を測定し、ラビング方向に多数の微細な溝構造が形成されていることを見出した。しかし、これによる配向力を理論的に見積もった結果は、測定値と6桁程度の違いがあることがわかった。この原因の解明は来年度に引き続いて行う。 (5)電子顕微鏡による表面形状の測定および赤外線ATRによる高分子の配向状態の測定については現在進行中であるが、その詳細な実験は来年度に引き続いて行う予定である。
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Research Products
(2 results)