微小物体の超音波浮揚実験

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63550260
• Research Institution: College of Industrial Technology, Nihon University
• Principal Investigator: 瀬谷 浩一郎 日本大学, 生産工学部, 教授 (50059078)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 大塚 哲郎 日本大学, 生産工学部, 専任講師 (90120394)
• Keywords: 超音波浮揚 / 段つき円形振動板 / 放射圧 / 強力定在波音場 / 音圧レベル / 音圧分布 / 指向特性 / ビ-ム幅

Research Abstract

本研究の目的は、微小物体を空中に非接触で固定(浮揚)させることにある。すなわち、物体が置かれる環境は、重力場中であれば通常異なった物質と接続している。これを非接触にすることにより、この物体に対する外部からの影響の一要因を削除することが可能となる。
この問題を実施するに当たり、本研究では音響エネルギ-を利用した。これは高音圧音場を発生させ、この音場中に物体を挿入すると、この物体に放射圧が作用し、物体は音波の波長の1/2間隔で音圧分布の節に固定(浮揚)させることができる。
本年度は、超音波浮揚実験を開始した。実験に用いた音源は63年度に開発した音源を使用した。これは周波数200kHzまたは28kHzの強力空中超音波エネルギ-を段つき円形振動板により集中した音場を形成し、この音場中に発生する放射圧を利用し浮揚実験を試みた。対象とした物体は固定(金属、プラスチック系)又は液体(主に水滴又は油)を用い、大きさは音波の波長に対して1/4以下と、これより大きいものを用いた。結果として、微小物体の浮揚には、密度が大きくなると大きな音圧が必要であり、径が一定であれば周波数が高いほど低い音圧で浮揚させることができた。しかし試料の形状が変わり、円盤や三角柱の様になると浮揚の様子が変わることが確認された。従って本研究の目的である浮揚実験はほぼ達成できたが、浮揚物体の制御についてはさらに検討が必要であると思われる。

Research Products

• [Publications] 大塚哲郎: "振動板を用いた強力空中超音波音源とその応用" 1989年電子情報通信学会秋季全国大会SA-5-2. I-172-I-173 (1989)
• [Publications] T.OTSUKA: "High Power Ultrasound Source with Stepped Circular Vibrating Plate in Two nodal Circles" Proc.13th International Congress on Acoustics. 283-288 (1989)
• [Publications] 塩出高史: "空中超音波場の映像化による音場評価" 日本大学生産工学部報告. Vol.22. 35-44 (1989)
• [Publications] T.OTSUKA: "Ultrasonic Levitaition by stepped circular vibrating plate" J.J.A.P.“Ultrasonic Eledtrinics"1990.