1989 Fiscal Year Annual Research Report
動的なシステムの定性解析とその工学的問題解決への応用に関する研究
Project/Area Number |
63550273
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西田 豊明 京都大学, 工学部, 助教授 (70135531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 陽一 京都大学, 工学部, 助手 (70196492)
堂下 修司 京都大学, 工学部, 教授 (00025925)
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Keywords | 定性推論 / 工学的問題解決 / 人口知能 / 常識的推論 / 動的システム |
Research Abstract |
人間の思考過程では、定性的な思考は重要な役割を果たす。複雑で動的なシステムを解析・設計するとき人間はまず問題の粗い分析を行なって、問題の性質を定性的に把握してから、詳細な解析を行なう。これまで、計算機工学の分野では数式処理やシミュレ-ションによる定量解析・設計法はかなり確立され、自動化のめどが立っているが、それに至る前段階の定性的解析・設計の方法についてはまだ研究は始められたばかりである。 本研究の目的は、定性的な思考プロセスの形式化とアルゴリズム化を行ない、工学分野における問題解決に利用可能な形に定式化することである。 本年度は、問題に適したモデルを生成するためのツ-ルの開発とヒュ-リスティックによる自動生成法に関する研究を行い、次のような成果を得た。 実世界における問題解決は可能なモデルの集合の中から、問題に適したモデルを見つけることが重要である。可能なモデルを陽に列挙すると膨大になるので、可能なモデルの集合を基本モデル+モデル修正オペレ-タとして表す方法を採用する。まず、人間からのコマンドによって基本モデルにモデル修正オペレ-タを適用し、与えられた問題に適したモデルを自動生成するツ-ル (ソフトウェア) をsicstus prologを用いて開発した。次にこのツ-ルを利用して、現在のモデルが与えられた問題に適していないことが分かったとき、そこに生じる不整合の原因を取り除いてモデルを修正するためのヒュ-リスティックを明らかにした。試作したシステムを簡単な例題に対して適用し、考え方の有効性を確認した。なお、この研究によって1989年度人口知能学会全国大会の優秀論文賞を受賞した。
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[Publications] 西田豊明: "定性推論ーー動的システムの挙動理解を目指して" 電気学会誌、電子・情報・システム部門誌. 109ーC. 622-628 (1989)
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[Publications] 西田豊明: "定性推論の基礎" 人工知能学会誌. 4. 522-527 (1989)
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[Publications] 西田豊明: "自然言語理解のための知識表現と推論ーー推論" 情報処理学会誌. 30. 1234-1241 (1989)
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[Publications] Nishida,T.and doshita,S(分担執筆): "Reasoning about Discontinuous Change.in Weld.D.and de Kleer,J.(eds).:Readings in Qualitative Reasoning about Physical Systems" MorganーKaufmann Publishers, 717 (1989)