複合金属蒸気反応を用いた低温度動作金属蒸気レ-ザの励起及び緩和過程に関する研究

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 63550281
• Research Institution: Iwate University
• Principal Investigator: 谷口 宏 岩手大学, 工学部, 助手 (00003880)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 斎藤 弘 岩手大学, 工学部, 助教授 (80003846)
• Keywords: 金属蒸気レ-ザ / 高効率レ-ザ動作 / 複合金属蒸気 / 低温度蒸気化 / 放電励起レ-ザ / 緩和発振現象 / レ-ト方程式 / 小信号および大信号解析

Research Abstract

本研究では、事故終端型金属蒸気レ-ザにおける各準位分布数および光子数についての基本となるレ-ト方程式を新たに導出し、この基本方程式に基づいて緩和発振現象の立場から解析を行い、この解析結果と塩化銅蒸気レ-ザにおける実験結果との比較検討を展開した。1)小信号近似理論による解析 2)大信号理論による解析 3)自己終端効果の検討 4)共鳴放射の閉じ込め効果と同種粒子間の衝突効果を考慮した遷移確率についての検討 5)蒸気圧曲線に基づいた放電解離率の見積り 6)放電励起強度とレ-ザ出力の見積り、について検討した。この結果、塩化銅蒸気レ-ザにおける実験結果を合理的に説明し得る理論的解析結果が得られ、他の自己終端型レ-ザにも適用し得る解析的手法を展開できた。主な成果は、A)上記1),5)により従来気体レ-ザでは起こりにくいとされた緩和発振現象が、金属蒸気レ-ザにおいても起こり得ることを示し、この種のレ-ザについての新しいアプロ-チの手法を呈示した。(Jpn.J.Appl.Phys.vol.28,(1990)pp.2321-2322)。B)2),5)により厳密解から、A)の結果をより詳細に説明づけた(Jpn.J.Appl.Phys.vol.29,No.4発行予定)。C)1)-5)により、共鳴放射の閉じ込め効果が十分に生じているときには、自己終端効果を無視しても厳密解と同程度の精度でレ-ザ過程を議論できることを明らかにした。(Jpn.J.Appl.Phys.vol.29発行予定)。D)2)により、銅蒸気レ-ザにおける短光パルスの発生とその発展的応用について見通しをつけた(分光研究vol.39,No.1(1990)pp.26-28)。E)1),3),4),6)により、塩化銅蒸気レ-ザの出力を簡易に見積もる手法について言及した(Jpn.J.Appl.Phys.No.OS0203投稿中)。現在小信号近似理論による解析解と、大信号解析による厳密解とが得られる長所を兼ね備えた解の得られる可能性をもつ大信号近似解析についてさらに検討を進めている。

Research Products

• [Publications] 荒川丈晴: "空気吹き付け型高速動作ギャップスイッチの動作特性" 岩手大学工学部研究報告. 41. 29-35 (1988)
• [Publications] 谷口宏: "On the Rolaxation Oscillation in Copper Vapor Lasers" Journal of Applied Physics. 65. 4068-4070 (1989)
• [Publications] 葛巻教光: "Multiline Oscillation of Near-IR and Red Losers by Longitudinal-Discharge Excitation of Calcium Vapor" Japanese Journal of Applied Physics. 28. 2040-2041 (1989)
• [Publications] 谷口宏: "A Theoretical Consideration of the Waveform in the Cu/CuCl Vapor Laser Output" Japanese Journal of Applied Physics. 28. 2321-2322 (1989)
• [Publications] 谷口宏: "銅蒸気レ-ザ-における短光パルス発生の可能性" 分光研究. 39. 26-28 (1990)
• [Publications] 谷口宏: "Studies on Relaxation Oscillations in Cu/CuCl Vapor Lasers by Comparison of Experiments with Computer Analysis" Japanese Journal of Applied Physics. 29. (1990)
• [Publications] 谷口宏: "Descriptive and Theoretical Analysis of the CuCl Vapor Laser Output" Japanese Journal of Applied Physics. 29. (1990)
• [Publications] 谷口宏: "A Simple Estimation of the Power Output in the CuCl Vapor Laser by Dischage Pulse-Ecitation" Japanese Journal of Applied Physics.